「音楽がどんどん好きになっていった」歌手としての2年間を振り返る

 デビューして7年、変わらぬ透明感に大人の女性としての魅力も加わり、唯一無二の存在感を放つ森 七菜さん。

 目覚ましい俳優業とともに、着実に歩みを進めているのが彼女の音楽業だ。2020年に『カエルノウタ』でデビューして以来、森さん本人もどんどんのめり込んでいるというアーティストの世界。8月31日(水)には初のファーストフルアルバム『アルバム』もリリースされる。

 始めた当初は「歌が好きじゃなかった、苦手だった」と赤裸々に話す森さんが、今では作詞・作曲をお願いしたいアーティストに、自身で積極的に声をかけるほど歌が大好きになったという。

 約2年で著しい変化を遂げた「歌う」という表現について、そしてスタートした20代や今のキャリアについて、インタビューで紐解いた。


アルバムタイトル『アルバム』に込めた思い

――いよいよファーストアルバム『アルバム』が発売されます。タイトルは森さんが決めたそうですね? 

 はい、そうです。種類の違ういろいろな曲が入っているので、思い出の詰まった写真の“アルバム”みたいに「この曲を聴くとあのときが蘇る」みたいな、そんな色のある1枚になったらいいなと思って『アルバム』というタイトルをつけました。全曲、本当に違う色や顔をしているので、聴き比べのできる1枚としてもきっとすごく楽しいはずです。その中から1曲でもお気に入りを見つけてもらえたら、うれしいです。いつか……何年後かに聴いたとき、匂いを感じるような曲たちになれたらとも思いました。

――鮮烈のデビュー曲『カエルノウタ』も、『アルバム』の中に入り全曲を通して聴くと、また違った聴こえ方にもなりますよね。

 そうかもしれません。今振り返っても、『カエルノウタ』はあのときだけのものだったなぁとよく思うんです。最初に岩井さんと小林さんに託してもらった曲なので、一番思い入れがある歌ではありますし。

――当時のレコーディングのこととかも覚えていますか? 

 それが……全然憶えていなくて(笑)。私、いろいろなことを忘れがちなんです。それでも憶えているのが、小林さんが「少年のような声でもあるし、ガラスのコロコロした声にも聴こえるね」と褒めてくれたこと。それだけは印象に残っています。

2022.08.25(木)
文=赤山恭子
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=足立真利子
スタイリスト=甲斐修平