美しいサシが入った近江牛に精魂込めて

◆毛利志満 近江八幡本店(もりしま おうみはちまんほんてん)

 「毛利志満」の歴史は1879年、竹中久次・森嶋留蔵兄弟が東京・浅草に開いた牛鍋店「米久」に始まる。これが大評判となり、近江牛の名を世に知らしめるきっかけとなった。

 当時は鉄道が発達していなかったため、馬喰が歩いて牛を運んだという。盗賊に遭うことも多く、それを救ってくれたのが清水次郎長だったという、ドラマのようなエピソードも。

 近江牛を求めて、「毛利志満」牧場長・犬井正秋さんを訪ねる。犬井さんはこの道60年。牛の顔を見ただけで、体調から脂のつき、肉質や味わいまで分かるという。

 時間をかけて肥育し、脂のよしあしを見極め、最近の赤身志向にも的確に対応している。

 自家牧場で手塩にかけて愛情深く育てた近江牛は、毛利志満の店舗でのみ提供。

 肉質、旨みを味わうなら、「まずはすき焼きでどうぞ」と、4代目の森嶋政文さん。

 伝統を守りつつ、新たなメニュー作りにも積極的に挑戦中だという。東京にも出店し、新たな近江牛の歴史の幕が開きつつある。

毛利志満 近江八幡本店(もりしま おうみはちまんほんてん)

所在地 滋賀県近江八幡市東川町866-1
電話番号 0748-37-4325
営業時間 11:00~14:30 L.O.、17:00~20:00 L.O. (土・日曜・祝日 11:00~15:00、16:30~20:00)
定休日 水曜
https://www.oumi-usi.co.jp/
※長浜黒壁店もあり。

知られざる美食王国
滋賀は今が行きどき

Column

CREA Traveller

文藝春秋が発行するラグジュアリートラベルマガジン「CREA Traveller」の公式サイト。国内外の憧れのデスティネーションの魅力と、ハイクオリティな旅の情報をお届けします。

2022.08.11(木)
Text=Michiko Watanabe
Photographs=Atsushi Hashimoto

CREA Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

日本のワインとご馳走に心躍る テロワールを訪ねて Terroir  Journey!

CREA Traveller 2022 vol.3

日本のワインとご馳走に心躍る テロワールを訪ねて Terroir Journey!

特別定価1,500円 (税込)

「CREA Traveller」2022 vol.3の特集は、「日本のワインとご馳走に心躍るテロワールを訪ねて」。日本には、その土地を訪れなければ出合うことのない美味や風景、文化があります。その風土だからこそ育まれた“土地の恵み・テロワール”は多彩で趣深いもの。唯一無二の味に出合う旅へ、ご招待。