素晴らしい食の伝統遺産や豊富な食材に恵まれながら、控えめな存在に思えていた滋賀。
それが今、食いしん坊たちが心を震わせる刺激に満ちた食都へと変わっている。
滋賀といえば、見逃せないのが近江牛。今回は「サカエヤ」と「毛利志満」、滋賀を代表する2軒の肉料理屋をご紹介。
丹精こめて肉を育てる肉のマエストロここにあり
◆セジール/サカエヤ
![レストラン「セジール」では、おすすめの肉数種をのせたワゴンの中から、好みの肉を選び、焼いてもらうシステム。枯らし熟成で2週間を経た近江牛ランプ肉200gをステーキに。炭火で1時間、じっくり焼き上げた。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/0/1280wm/img_70a08092d4cc08adae9e1c8135dde051105342.jpg)
「4年前、移転の際に、それまで看板に掲げていた近江牛の文字を外したんです」
「サカエヤ」&レストラン「セジール」の店主・新保吉伸さんが言う。
![肉をさばき、育てる技術の継承にも力を注ぐ、店主・新保吉伸さん。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/3/1280wm/img_c367e7013f89f4f31c78b7f2dd6f6bb3151797.jpg)
目指しているのは、サシが美しく入った、いわゆる近江牛ではなかったからだ。
「牛のなかには、どうしても大きくなれない子がいるんです。“食い負ける”というんですけど、競争の世界ですかね……。僕はそういう子を積極的に買って、ねかせて美味しくして、違う価値を付けるんです」
![タンのような食感のあご肉のサラダ 2,200円。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/3/e/1280wm/img_3e7a66e86480b114d1113485896c723e81257.jpg)
農家からのバトンを受け、どんな肉でも“手当て”を施し(熟成させて)、旨い肉に生まれ変わらせて、料理人や消費者に届けている。
![店頭で出荷を待つ、シェフたち御用達の肉。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/6/1280wm/img_16a45eb1baab2b9fa9dc486e753fd458157449.jpg)
日本中の一流シェフたちが使いたいと願う新保さんの牛肉。ただ届けるだけではない。
どのようにさばくのか、どう保存するのか、まできっちりと伝え、守っているかどうかのチェックも欠かさない。
![ハウスワイン、ヴェンタ・ラス・ヴァカス。ステーキと好相性。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/1280wm/img_e04738746374cd9f196094dda1cf8b9e121962.jpg)
そのために、月のうち半分は各地を回っている。隣接する「セジール」では、溝口真哉シェフが丹念に焼き上げた極上ステーキが供される。
![店内に飾られている牛のアート。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/2/3/1280wm/img_2395ae8ffb9b1043d11e3baac0b5fb1f242058.jpg)
![店内。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/1/e/1280wm/img_1e240a95626f9b956754e36ed87dc987108441.jpg)
セジール/サカエヤ
所在地 滋賀県草津市追分南5-11-13
電話番号 〈セジール〉077-561-3329〈サカエヤ〉077-563-7829
営業時間 〈セジール〉11:30~13:00、17:30~21:00(いずれもL.O.)〈サカエヤ〉12:00~18:00
定休日 火・水曜
https://saisir.jp/
2022.08.11(木)
Text=Michiko Watanabe
Photographs=Atsushi Hashimoto
CREA Traveller 2022 vol.3
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。