建築も美しい老舗アーケード巡りが楽しい

 

 オーストラリアのお買いもので絶対にはずせないのが、ショッピングアーケード。シドニーやメルボルンなどの大都市には、歴史ある建築も見どころのアーケードが中心街にそびえ立ち、ゴージャスな空間に気分が上がります。

 シドニーを代表するお買いものスポットといえば、「クイーン・ビクトリア・ビルディング(QVB)」。1898年に英国ビクトリア女王の即位60年を祝福して建てられた壮麗なビルディングで、当初はコンサートホール、ショッピングモールなどからなる華麗な施設だったそう。

 その後、改装を重ねながら1930年代にはシドニー市議会の建物となりますが、1950年代になると、老朽化とともに取り壊しが議論され、存続の危機に……。

 そして1971年、当時のシドニー市長がビルディングの復元を市民に約束。1986年に再びショッピングセンターとしてよみがえり、今ではニュー・サウス・ウェールズ州遺産にも指定されています。

 館内には、有名ファッションブランドから、ジュエリー、コスメ、さらにレストランやカフェまで約180店舗が。注目は、お土産にしたくなる “Made in Australia” のお店。

 カシミヤ専門店やアボリジナルアートのギャラリーのほか、お土産に喜ばれそうなのが「ヘイズ・チョコレート」。1915年にアデレードで創業した、オーストラリアで最も古い家族経営のチョコレートショップです。

 オーストラリアの固有種ビルビーやテディベア、カエルがモチーフのチョコレートも人気。ギフト用のさまざまなパッケージがあるのも楽しい!

 さて、ショッピングアーケード巡りを楽しむなら、断然おすすめの街がメルボルン。1907年に完成した旧・中央郵便局を改装した「GPO」をはじめ、素晴らしい建築のアーケードが中心街に集中しています。

 その代表格といえば1870年に開業した「ロイヤル・アーケード」。オーストラリアに現存するアーケードのなかで最も長い歴史を誇ります。

  路地はさんで「ロイヤル・アーケード」のすぐ向かい側にある「ブロック・アーケード」も、1892年に開業した老舗。

 こちらのアーケードでは、自然派フレグランスの素敵なお店「エッセンソリー」を発見。

 育種家の家に生まれたニコル・トーマスさんが2008年に立ちあげたブランドで、原料は自社畑のものを中心に、オーストラリア各地から厳選したオーガニック。

 小さな店内は、自然の植物ならではの、優しさのなかに力強さを秘めた香りで満たされています。

 香りのバリエーション、アイテムのラインナップも豊富で、「こんなの欲しかった!」と思わず手にしたのが、コロナ禍に開発されたハンドサニタイザー。

 防腐剤は未使用。ナチュラルバイオエタノールとピュアエッセンシャルオイルから作られていて、お出かけのお供にとても便利。

 現在、ショップは「ブロック・アーケード」にあるこちらだけ。しかもショップの2階でフレグランスを精製していて、まさしく “Made in Melbourne“ なのです。

2022.06.23(木)
文=矢野詔次郎
写真=鈴木七絵
協力=オーストラリア政府観光局