つくりこまれた世界と日常が混在している映画のワンシーン。少し視点を変えてみると、ここで暮らしてみたい、真似したいと思わせてくれるものに出合えるはず。

 映画をヒントに、自分なりの解釈で空間づくりを楽しんでみて。今回は、空間にトリップしたい映画をご紹介。


ときめく部屋は、映画のなかに

 “インテリア目線”で映画を観る。日頃から、そんな映画の楽しみ方をしているという、インテリアスタイリストの大谷優依さん。

 「映画には、いろいろな人々の日常が描かれています。数十年前のアメリカ、はるか彼方の惑星……。設定は様々ですが、どんな家に住んでいるか、どんな家具や食器を使っているか。

 インテリアを意識すると、ちょっとした小物にもこだわりを感じて、登場人物たちの個性や人生観、暮らしの風景がより色濃く見えてきます。いろいろな発見にもつながって、楽しいですよ」

 いつもはストーリーに夢中で、見過ごしがちな映画のなかのインテリア。眼を凝らしてみたら、理想の暮らしや日常に生かせるヒントが見つかるかもしれない。

窓辺は大人のための秘密基地

『ムーンライズ・キングダム』

憧れの窓辺の読書スペースはウェス・アンダーソン流で

「インテリアのスタイリングにもセンスが光るウェス・アンダーソンは、大好きな映画監督のひとり。『ムーンライズ・キングダム』は、映画が始まってすぐ、カメラがスライドしていきながら、家の内部が見えていくカットが圧巻です」

 冒頭シーンに登場するのが、本が好きな少女スージーの読書スペース。

「大人になっても、こういう窓辺の読書って憧れますよね。意外と実現可能で、腰窓の下に強度がある(これ重要!)棚を設置して、その上にクッションを置くだけ」

 秘密基地感があって、自分だけの特別な空間に。

●あらすじ●

舞台は1965年、ニューイングランド沖の小さな島。ボーイスカウトのキャンプから脱走した12歳のサムは、文通で愛を深めた同じく12歳のスージーと駆け落ち。島の人も寄り付かない秘密の入り江へ。あどけなさを残しながらも、どこか大人びていて冷静なサムとスージーの愛の逃避行と、2人の行方を大慌てで探す大人たちの姿をユーモラスなタッチで描く。

『ムーンライズ・キングダム』

監督:ウェス・アンダーソン
出演:ブルース・ウィリス、ビル・マーレイほか
©2012 MOONRISE LLC. All Rights Reserved.
DVD 1,320円、Blu-ray 1,980円、U-NEXTにて見放題で配信中
発売元:ハピネットファントムスタジオ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング

2022.04.12(火)
Text=Mie Nakamura(Jam session)

CREA 2022年春号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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