思い切り泣きたい、声を出して笑いたい。なりたい気分に映画でアプローチ。リアルを忘れてしばし別世界へ没入できる作品を映画好きのみなさんに教えてもらいました。今回は、出かけられない日々にこそ必要な「異空間へDive」できる8作品をご紹介します。
独特の映像美と音の風景に引き込まれる
『闇のあとの光』
![『闇のあとの光』微細なゆらぎが伝わってくる音の風景が素晴らしい(吉開菜央さん)](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/5/f/1280wm/img_5f2b4e78e4ce9ebdb4c3f7ed314c980a371962.jpg)
メキシコの鬼才カルロス・レイガダス監督による衝撃作。
「夕暮れ時、少しぬかるんだ地面が広がる大地に、幼子がよちよち走り回っている。ぴちゃぴちゃした水音、幼子の声、息遣い、獣たちのざわめき、遠雷の轟きなどのサウンドスケープが、日が落ちて、闇が深くなるほど美しく際立ってきます。
極上の悪夢のような、この冒頭シーンが大好きです」(吉開菜央さん)
『闇のあとの光』
DVD:4,950円
発売元:日本スカイウェイ
販売元:ブロードウェイ
©No Dream Cinema, Mantarraya Productions, Fondo para la producción Cinematográfica de Calidad(Foprocine-Nexico), Le Pacte, Arte France Cinema
「全知」ってつらい! 人が神になる惑星
『神々のたそがれ』
![『神々のたそがれ』©2013 Studio Sever (Russia), Russia 1 TV Channel(Russia)](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/1/1280wm/img_414de92b227b72a1e556e02b6109551f753643.jpg)
構想35年、製作に13年をかけたロシアの巨匠アレクセイ・ゲルマン監督の遺作。
とある惑星アルカナルに地球から調査員が派遣されるが、彼らが目にしたものは……。
「最初から最後まで強烈なインパクト。完璧に作り込まれた美術、衣装。地球よりも800年ほど遅れた文明を持つ惑星を舞台にしたSF映画で、とんでもない世界観です」(辻川幸一郎さん)
2021.10.12(火)
Text=Ritsuko Oshima(Giraffe)
CREA 2021年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。