企画・脚本・監督・主演のすべてを務めた「のん」

 演じたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」から9年。28歳になったのんさんは、俳優業だけでなく、バンド活動やアート制作など様々な武器を手に、創作の世界と向き合い続けている。2022年、新たに彼女が手にした武器は映画監督。初の劇場長編監督作『Ribbon』で、企画・脚本・監督・主演のすべてを務めた。

 「キッカケは、私が主催する音楽フェスの中止を2020年2月に決断したことでした。1度目の緊急事態宣言中に自粛生活を過ごしながら、エンタメや芸術の優先順位が下がっていくことに危機感を覚え始めて。3月末に無観客での音楽フェスを放送した後に、この映画の脚本に取りかかりました」

 最初に頭に浮かんだのは、負の感情がリボンとなってモヤモヤ浮かんでいる女の子の映像。だから、歌でも絵でもなく、映画をつくるという選択は必然だった。

 「コロナによって卒業制作展が中止になった美大生の、個人的なお話ですが、緊急事態宣言下においてはその個人が世界中に溢れていました。これはみんなの映画でもあると思ったので、リボンという感覚的な表現を使いつつも、セリフでは曖昧な表現をせずにダイレクトに心を刺す言葉選びを心がけました。劇場での上映が決まったことで、たくさんの人に“伝える”ことの責任感は増しましたね」

2022.04.28(木)
Text=Kozue Matsuyama
Photographs=Satoru Tada
Styling=Izumi Machino
Hair & make-up=Shie Kanno

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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