目の前に定点カメラを置かれると、条件反射で身体をクネらせてしまう。これが「景井ひな」。TikTokでは持ち前の創造力と遊び心をフル活用して、わずか数秒の動画で1000万人以上のフォロワーを虜にしている。

 でも“ノリ”と“勢い”だけで生きてきたわけじゃない。レンズには映らない脳内を覗いてみたら、理路整然とした思考回路が広がっていた。

3秒で「おやっ!?」と思わせる

 「“分かりやすさ”と“ギャップ”を大切にしています」と、動画制作で重視しているポイントを惜しげもなく語ってくれる。SNS(=シェア文化)のトップランナーだからか、必死に磨き上げてきた成功法則も隠すつもりはない。

「今は海外のフォロワーさんも増えていて、女性と男性の比率が半々ぐらいだし、世代もバラバラです。誰が見ても楽しんでもらえるような分かりやすい動画を作ることを心がけています。

 でも毎日膨大に投稿される動画の中で自分に注目してもらうためには、開始3秒で『おやっ!?』と思ってもらえるような演出も大切です。例えば可愛いBGMなのに変なダンスを踊ってみるとか、ギャップが大きい動画は視聴数が伸びやすい印象があります」

 もともと「面白いこと」が好きで、友だちの誕生日にはサプライズを企画せずにはいられないタイプ。学校の文化祭でも率先してアイディアを考えた。今でも、フォロワーの笑顔を想像すると動画制作の気力が無限に湧いてくる。

「『これは面白いぞ! 完璧だ!』と思ったネタも、試行錯誤して概ね3パターンの動画を撮影するんです。そこからじっくり吟味して、投稿するのは1本だけ。選ばれなかった2本はお蔵入りです。効率が悪い気もしますが、妥協はしたくなくて。『このボケにツッコんで欲しい』と考えるとワクワクしますし、狙い通りのリアクションをもらえたら本当に幸せです。

 1日中、部屋の中で撮影するような生活でも飽きないし、むしろフォロワーさんとの交流を通してどんどん自分の世界を広げていける。それがSNSの魅力だと思います」

2022.04.19(火)
Text=Satoshi Asahara
Photographs=Yosuke Suzuki(Erz)

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※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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