生きている限り、ものづくりをして、演じていくんだなって
インタビュー中に何度も登場した「自信」は、のんさんが常に抱いているものではない。ものづくりをしているときにだけ装備される、パワースーツのようなものだ。
「普段の何でもない自分にはそんなに自信がないので、人に話しかけるときも『私に話しかけられて迷惑じゃないかな』とか、すごい考えちゃいます。
でもお芝居やものづくりの現場だったら堂々と話しかけられるし、生意気でいられる。それこそお仕事を始めたころの演技レッスンでも、自信満々だったのを覚えています。
『次やりたい人』と先生に言われたら、プランもないのに手を上げたり。結果的に何もできずに固まっていたけど、なぜか自分が出るべきだと思っていたんです。うぬぼれ屋さんですね(笑)」
“のん”としての活動を開始したのは2016年。自らを「創作あーちすと」と表現し、ものづくりへと突き動かされる衝動に自覚的になっていったのは、この頃からだという。
「もう自分はそういう人なんだって、諦めがついたんです。これから生きている限りものづくりをしていくし、演じていくんだなって。『Ribbon』を撮り終えたときも“ああ、もう映画づくりはいいかな”って気持ちになったんです。
でも編集作業をしているうちに、こうすればよかった、ああすればよかったっていう欲が芽生えてきて。また私、映画を撮りたいんだ、こんな感じでずっと撮っていくんだ……と実感しました。やれやれ、みたいな感じです(笑)」
2022.04.28(木)
Text=Kozue Matsuyama
Photographs=Satoru Tada
Styling=Izumi Machino
Hair & make-up=Shie Kanno