興味あることは沢山あるけど、「To Do List」じゃ重すぎる、スローなウィークエンドにしてほしい。そんなあなたのために、ゆるーい週末の過ごし方ガイドをCREA編集部が5つピックアップしてみました。
もちろん、今週末は部屋でゆっくり寝て過ごしちゃう、なんてのもOK。だって、週末はまた来週もやってくるんだから。
今週の「週末何しよう?」は特別編。緊急事態宣言が続き出かけることもままならない今、せっかくだから本でもゆっくり読んでみませんか? 今回紹介する5冊の本は読むことで新たな世界への扉を開いてくれる危険な本たち。週末どころか、一生楽しめるぐらいのインパクトです。
①「小説」という自然現象
「理系」と聞いただけでひるんでしまうほど、物理や数学が苦手だった私にとって、毎号読むたびに刺激をもらえるのが、「小説すばる」で連載している「理系の読み方」。約2,000文字の中に、今まで触れてこなかった知識があふれていて、めちゃくちゃ興奮します。まったく知らなかったことに少しでも近づけるって、素直に嬉しいですよね。
8月号のテーマは「小説技術との付き合い方」。村上春樹の言葉から『現象数理学の冒険』を紹介するという手腕に、「え!どんなオチが待っているの?」とドキドキしながら読んでしまいました。こんなスリリングな読書体験をさせてもらえる書評ははじめてです。
このページで紹介されている本を実際に読むのかと問われると、答えに窮してしまうのですが、それはまた別の話。次回はどんなテーマなのかと、今からわくわくしています。集英社さん! 単行本化されますよね? お願いします!
「小説すばる 8月号」
集英社 960円
②パンデミックをテーマにしたアンソロジー
新型コロナが流行し始めたころは、『ペスト』や『白の闇』などのいわゆる疫病文学を読み返していましたが、コロナが猛威を振り続けている今は、そういったものからはあえて離れていました。オリンピックも始まりますし、あまりにも目まぐるしく変化する現実についていけなくなってしまって……。
でも『緊急事態宣言下の物語』を読んで、コロナ禍だからこそ生まれた作品、コロナ禍に読むからこそ意味のある作品もある、と改めて気づきました。目を覚まさせてもらったというか。嫌なものから逃げるために、お笑い芸人のYouTubeを見続けている私と違って、作家の方々は現実とちゃんと向き合ってこんな作品を執筆しているとは……。比べるのも失礼な話ですが、やっぱ作家さんってすごい!ですね。
私のお気に入りは、金原ひとみさんの「腹を空かせた勇者ども」。現代性かつリズム感のある言葉で、育ち盛りの中学生が直面しているリアルなコロナ禍を描いています。コロナによってむき出しになってしまった差別問題、そして母親の恋愛、部活、友達。子どもたちはいつだって大人たちのよって作られた環境の犠牲になってしまうけれど、彼女たちの未来は暗いだけではないかもしれないと思わせてくれる物語です。
仕事ができない編集者なので、私には作品をのこすことはできないけれど、このヤバすぎる現実を忘れないために日記でも書き始めようと思います。
『緊急事態下の物語』
尾崎世界観 金原ひとみ 真藤順丈 瀬戸夏子 東山彰良 著
河出書房新社 1,815円
2021.07.22(木)
文=CREA編集部