宝塚歌劇団在団中、かたや男役のトップスターとして、かたや娘役トップとして、絶大な人気を誇った柚希礼音さんと愛希れいかさん。そんなふたりが、ミュージカル『マタ・ハリ』で、オリエンタルな雰囲気と妖艶なダンスで人気を博したマタ・ハリをWキャストで演じる。

 再び同役に挑む柚希さん、そして今回初役となる愛希さんのふたりに、宝塚歌劇団時代の互いの交流についてや、いまのおふたりだからこその前向きなメッセージをいただきました。

(全2回の2回目。前編より続く)


宝塚歌劇団入団前から、大ファンでした!

――おふたりはともに宝塚歌劇団でトップを務められていますが、学年も所属していた組も違いますよね。共演されたことはありますか?

愛希 タカラヅカスペシャル(年に一度、組の枠を越えてスター級のタカラジェンヌたちが一堂に会するイベント)で1回くらい。あとは宝塚歌劇団100周年のイベントくらいでしかご一緒してないんですよね。

柚希 そうだよね。組が違うと、案外、共演ってないですよね。

――愛希さんは入団前から柚希さんの舞台もご覧になっていたとか。

愛希 はじめてちえさん(柚希さんの愛称)を生で拝見したのが『愛するには短すぎる』という作品でなんですけれど……。

柚希 (湖月)わたるさん主演の方?

愛希 そうです。その前からビデオでは拝見していましたが、劇場で観たのはそれが初めてで。いまだに忘れられないのが、私が出待ちのところにいたら、ちえさんが出てこられた時のこと。その時、ちえさんは当時流行っていたブーツカットのパンツに、キラキラのスパンコールの黒いストールをされていて……あまりに素敵で、私、真似して買いましたから(笑)。だから、初めて買った男役の服は、キラキラのスパンコールのストールです。

柚希 それいくつくらいの頃?

愛希 私が中学生の頃で……。

柚希 ……とかよね(笑)。すごく恥ずかしい~。しかも2006年の『愛するには~』って……なんか申し訳ないです。宝塚ファンだったの?

愛希 もう、大っファンですよ! 小学校2年生くらいの時から。だから、『愛するには~』はビデオでも何度も観返しました。同時上演されていたショー『ネオ・ダンディズム!-男の美学-』がすごく好きで、とくに、ちえさんがスーツで机からこうやって(といいながら身振り手振りで説明)出てくる時の……。

柚希 あったあった。安寿ミラさんの振付で!

愛希 あの場面、私、何度巻き戻して観たか。1000回……いや、10000回は観てると思います。それぐらいファンだったんです。ちえさんのトップお披露目公演の『太王四神記 Ver.II』は、私、入団して1年目だったんですけれど立ち見席のチケットを買って6回ほど観させてもらいましたし。

柚希 すごい。そんなに観てくれてたんだ。嬉しいです!

――柚希さんは、愛希さんにどんなイメージを持たれていましたか?

柚希 月組で『スカーレット・ピンパーネル』をやった時に、ちびっ子ルイ(ルイ・シャルル)をやっていたし、期待の新人男役なんだなという認識でした。そしたら娘役に転向したと聞いて、気になっていて。そうしたら、すごく可愛らしい娘役になられて。

愛希 いや、そんな……(恐縮)。

柚希 そんな方が、私のファンだと言ってくれているという噂は聞いていたけれど……なんか申し訳ないな、と。

愛希 そんな……! 本当に憧れていましたから!

2021.05.22(土)
文=望月リサ
写真=鈴木七絵
ヘアメイク=黒田啓蔵(Iris) 、杉野智行(NICOLASHKA)
スタイリスト=間山雄紀(M0)、山本隆司