コンプレックスを忘れるくらい、好きなものを突き詰めて
――宝塚の娘役というと可憐で可愛らしいイメージですが、愛希さんの娘役は可憐ななかに芯の強さを感じるカッコいい娘役でした。
柚希 なんかね、ちゃぴちゃんの芝居を観ていると、毎回役にすごく真摯に向かっている感じがするんだよね。どんなに似た方向性の役でも、「ああ、これ似てるな」っていう感覚でやっていないんだろうなって感じるというか。
愛希 そこはつねに意識しているところではあるかもしれません。でもそこは、ちえさんから受けた影響がすごく大きいんですよ。ちえさんて、宝塚の伝統の良さもあるんですけれど、髪型や髪色、お化粧、ファッションひとつとってみても、なんか新しさがある男役さんだったんですよね。
そういう姿をカッコいいと思っていたから、男役ではちえさんのようになれなかったけれど、誰かに「娘役のちえさんみたいになれるように頑張る」みたいなことを言ったことがあるくらい。つねに新しくて、それが面白くて、人を飽きさせない。そういう舞台人になりたいっていうのは、宝塚時代からずっと思っていたことです。
柚希 そんなふうに言ってもらえると嬉しいな。それは、いまも型にはまらなくていいってことですよね。
愛希 いいと思います!
柚希 今回、18年にやったのと同じ役をもう一度やらせていただきますが、またゼロから積み上げていきたいと思っています。むしろ再演ということでハードルが上がっているので、ゼロどころかマイナスから始めないといけないなと思っています。
――いろんなことを乗り越えてこられたおふたりだからこそ伺いたいのですが、いま、人と自分とを比べて辛くなったり悲しい気持ちに陥ってしまう人に向けて、乗り越えるためのアドバイスをお願いします。
柚希 じつは宝塚時代には、「ライバルはいますか?」と聞かれることはありましたが、自分ができていなくて落ち込むことはあっても、他人と比べるということはあまりなかったんです。そういう場面があまりなかったというのもあると思うんですが、宝塚は劇団だから私ができなくても、みんなが放っておかずに何とかしようとしてくれるし、私自身のことも引き上げてくれてたんですよね。
ただ、退団してから、迷子になったことも正直ありました。
でもね、最終的には、自分が持っているもの、自分ができたことしか、本番の舞台ではできないんですよね。だからこそいまは、稽古場でどれだけ恥をかいても、あの手この手でいろんな挑戦をしてみようって思える。
私を引き上げてくれるのは私自身しかいないし、人と比べても私は私。周りの方がよく見えるかもしれないけれど、自分には自分のいいところ、できることがあるんだって認めることから始めなきゃなって、いまは思えるんです。
愛希 本当にその通りですよね。私も自分にそう言い聞かせている感じです。本当に好きなもの、嫌いなものを自分の中ではっきりさせて、好きなものをとにかく突き詰めていくんです。自分のコンプレックスを人と比べて落ち込む時間より、好きなものに向かっていく時間の方が素敵だし、楽しいじゃないですか。
コンプレックスがなんだったか忘れるくらい、好きなものを突き詰めていくっていうのはいいかもしれません。
柚希 そうだね。すごく前向きで素敵だと思う。
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柚希礼音(ゆずき・れおん)
6月11日、大阪府生まれ。1999年に宝塚歌劇団に入団。小学生時代から培ってきたバレエの素養と高い身体能力で早くから注目を集め’09年に星組トップスターに就任。『ロミオとジュリエット』、『オーシャンズ11』など数々の舞台に主演。’15年に『黒豹の如く』『Dear DIAMOND‼︎』で退団する6年に渡って組を牽引し、絶大な人気を誇る。退団後は舞台を中心に活躍しており、ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』や『唐版 風の又三郎』などに出演。ミュージカル『マタ・ハリ』は’18年に続き、二度目の出演になる。
愛希れいか(まなき・れいか)
8月21日、福井県生まれ。2009年に宝塚歌劇団に入団。当初は男役として活動していたが、’11年に娘役に転向。同年の『アルジェの男』で新人公演初ヒロインを務め、翌年、月組トップ娘役に就任。躍動感のあるダンスと高い演技力で娘役の枠を超えた人気を博し、’18年にはバウホール公演『愛聖女(サントダムール)』で単独主演を果たし、同年、『エリザベート』で退団。退団後は、東宝版のミュージカル『エリザベート』でタイトルロールを務めたほか、『ファントム』、『フラッシュダンス』など舞台を中心に活躍。
ミュージカル『マタ・ハリ』
ミュージカルブームに湧く’16年の韓国で世界初演され、大ヒットを記録したミュージカル。耳に残る印象的でドラマティックな楽曲は、『ジキル&ハイド』や『スカーレット・ピンパーネル』など、日本でも高い人気を誇るミュージカル作品を数々手がけたフランク・ワイルドホーンの手によるもの。日本では’18年に初演され、柚希礼音のマタ・ハリをはじめとした実力派キャスト揃いの舞台は大きな話題となった。第一次世界大戦下のヨーロッパで、そのオリエンタルな容姿と妖艶な魅力で観客を虜にし、国境を越えて活躍したダンサー、マタ・ハリ。時代に翻弄されたひとりの女性の愛と悲劇の物語が、今年、3年ぶりに蘇る。
脚本:アイヴァン・メンチェル
作曲:フランク・ワイルドホーン
歌詞:ジャック・マーフィー
オリジナル編曲・オーケストレーション:ジェイソン・ホーランド
訳詞・翻訳・演出:石丸さち子
出演:柚希礼音/愛希れいか(Wキャスト)、加藤和樹/田代万里生(Wキャスト)、三浦涼介/東啓介(Wキャスト)、春風ひとみ、宮尾俊太郎ほか
6月15日(火)~27日(日)東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)、7月10日(土)~11日(日)愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール、7月16日(金)~20日(火)梅田芸術劇場メインホールで上演
問:梅田芸術劇場 0570-077-039(10:00~18:00)
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2021.05.22(土)
文=望月リサ
写真=鈴木七絵
ヘアメイク=黒田啓蔵(Iris) 、杉野智行(NICOLASHKA)
スタイリスト=間山雄紀(M0)、山本隆司