サウナー達の言う“ととのう”の正体
サウナ前より深部体温は上がっているので、水風呂の後に外気浴だと寒いのでは? という心配はご無用。
「なぜ心身がコンディショニングされるのか? それはサウナが人体にとって“非日常的な危機的状況”であり、体内に目まぐるしい変化を起こしてくれるからなのです。
図で示したように、日常では体験することのない暑さのサウナや、反対に冷たい水風呂に入っているとき、体内では、危機的状況に遭遇した際に活性化する交感神経がぐんと優位になり、自律神経や血流量、脳内ホルモンなどをコントロールし、環境に適応しようとするのです。
そしてようやく水風呂から出ると、生命の危機は脱したと認識し、外気浴で副交感神経が優位になり、急速に心身が深くリラックスします。
血流が増加したことで、肩こりや腰痛も和らぎ、体がスムーズに動くように。また、脳はボーッとしているときにあれこれ考えていることで疲れてしまうのですが、サウナでは“暑い”ということのみに集中し、他の事を考えられなくなるので、脳が疲れなくなり効率よく働くように。
また、この時点で、サウナと水風呂で交感神経が優位になったことで分泌されたパワーアップホルモン、アドレナリンが体内に残っているのです。
アドレナリンの血中半減期は2分なので、2分経ってもまだ半分は残っています。“リラックス状態の副交感神経が優位になっているのに血中にはアドレナリンがある”という通常ではあり得ない相反するものが同居する状態。これこそがサウナー達の言う“ととのう”の正体なのです」
この“ととのい”タイムの2分が過ぎても、自律神経機能が上がっているため、心身がコンディショニングされた状態は3日程続くのでご安心を! また、女性のほうがサウナ感受性が高いのだそう。
「サウナには、女性におすすめしたい要素が盛りだくさん。ダイエット面では、“食事から得た分”から“貯蓄分=脂肪”に代謝のスイッチを切り替える役目のある甲状腺ホルモンの分泌がサウナに入ると増えるのです。ただし、カロリー吸収率も高まっているのでサウナ後の食事には、低カロリーで満足感の得られるものを。私は、刺身やゴーヤ料理などを頂くことが多いです。
また血流が良くなることで疲労物質が回収され、肩こりや眼精疲労も楽に。冷え性で重ね履きしていた靴下も不要になり、毛穴が開き、つまりが取れるので美肌効果も。なんと快楽ホルモンや幸せホルモンの分泌も増加します!」
2021.03.29(月)
Text=Tomomi Furusawa
Illustration=Haruka Kanzaki