おじさんが活躍する作品には独特の良さがある。ベストセラー『おじさん図鑑』や『おじさん追跡日記』の著者なかむらるみさんに、見ると元気が出るおじさん映画を教えてもらいました。
第1回「親戚のおじさん映画」に続き、第2回は「年を経てまるくなったおじさん映画」。かつての大ヒット作のイメージそのまま、いやむしろ進化している姿を見ると自分もまだまだこれから頑張ろうと思えます。
おじさんの絵をかくときの一番のポイントはなんだと思いますか。それは直線をいれないこと! 試しに全部ゆるい線でかいてみると、おじさんのいい味が出てくると思います。
これはイラスト的な表現ですが、人としての性格や雰囲気も若い頃にくらべ、ゆるくまあるくなっていくのがおじさんだなと思います。年を経たまるみを発見するとグッとくるのです。
そんな個人的なツボが刺激された「年を経てまるくなったおじさん映画」を選んでみました。
●年を経てまるくなったおじさん映画(1)
『ターミネーター:ニュー・フェイト』
最初の『ターミネーター』の製作って37年前の1984年なんですね。社会現象レベルに流行った『ターミネーター2』の製作が1991年で、そこから28年の時を経て作られた続編が面白いと聞いて、おうちで子供を寝かしつけたあと視聴しました。
2020年某日、メキシコシティの工場で働くダニーという女性が未来から来たターミネーターに襲われ、同じく未来から送り込まれた強化型兵士のグレースが彼女を救う。ふたりはターミネーターから逃げる途中で歴戦の戦士サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)に出会い、行動をともにする。T-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)も出てきて、旧作へのオマージュいっぱい、ベテランと若手のアクションがどちらもかっこよくて楽しめました。
『ターミネーター:ニュー・フェイト』でグッと来たところ
かつて殺人ロボットと呼ばれたT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)に会いにいくと、なんと人間の女性と結婚しているのです。
「なんで夜寝ないのにロボットってバレないのよ?」みたいな普通の会話もあって笑ってしまいました。
世間話をしつつ、ライムを切ってコロナビールでおもてなししてくれるT-800。自分は飲めないのに、まるくなりすぎでは! 痛風なのに私にはビールをすすめてくれたおじさんを思い出しました。
ただ『ターミネーター2』を見返したら既に“ボブおじさん”と呼ばれたりしていて、アーノルド・シュワルツェネッガーの人柄のおかげか、もともといいおじさんになる素養があったのかもしれないですね。
『ターミネーター:ニュー・フェイト』
監督:ティム・ミラー 製作:ジェームズ・キャメロン 他
2019年製作 アメリカ映画 PG12
ブルーレイ 2,619円(税込)発売中、デジタル配信中
発売元:ウォルト・ディズニー・ジャパン
https://www.20thcenturystudios.jp/movies/terminator-new-fate
2021.03.22(月)
文=なかむらるみ、編集部
絵=なかむらるみ