さっぱりラム、濃厚マトン、そして武藤さんの羊!

アイスランド産ラム(左)は優しいピンク色。オーストラリア産マトン(右)は色も力強い

 こちらのジンギスカンは、肉を味わってほしいからたれに漬けたりしない。焼いてから、たれをつけるタイプだ。逃げ道のない堂々たる肉扱い、ありがたい。鉄板の脇にはたっぷりのたまねぎと長ねぎ。このねぎさんたちが羊から滴る油を吸って、美味し~く育っていくのである。柔らかくなったほうが好きなので、食べるのは相当終盤だな。

 さて、まずいただいたのはアイスランド産ラムとオーストラリア産のマトン。アイスランド産のラムはあっさりしているというので先附け的に。塩でどうぞと言われて塩でも食べたがとってもミルキーでほんわかした食べやすいラム。かわいい味だ。オーストラリアのマトンは、しっかりした羊の香りとか味わいを感じたくて! やはり、マトンもいいのである。羊ちゃんの体毛に顔をうずめているような心地良い味なのだ。たれをたっぷりつけても負けない味で、これもいいですね!

 さてさて、真打ちはもちろん! 「茶路めん羊牧場」からやってきた生のラム。注文ごとに切ってくれて、香りがいい。ふっくらしている。なんにもつけなくても美味しいくらい、すっきりとして美味しい肉だった。サイトを観てみると、道産羊は種類や月齢までデータを公表した入荷情報があり、「ドーセット種が入ったのね、行かなくちゃ」みたいなこともできる。こんなマニアックな情報に道産子はざわめくのだろうか(それは萌える)。店も武藤さんの羊(ほかの道産羊も)に敬意を払っているようでうれしいな。

 そして、私の中の主役、左手の相棒「ごはん」がよかったのだ。北海道産の「ふっくりんこ」というお米。名前の通り、ふっくらとしていてもちもち。しっかりとした甘さで、これはジンギスカンに合う! 幸せです! ビールも、あまり知らないラベルのものを皆さんガンガン飲んでいたので、ビール派にもごはん派にもうれしいお店なのだと思う。それから、じっと我慢して柔らかくしたたまねぎと長ねぎも甘やかで、ひとつのご馳走に。肉との相性も当たり前だがいいわぁ。オプションでつけた西洋わさびもひとつ頼めば存分に使えて、北海道気分が盛り上がるからオススメだ。

 羊情報をチェックしてまた食べに行きたい一軒。

札幌成吉思汗 しろくま
住所 東京都港区赤坂3-6-13 アニマート赤坂2階
電話番号 03-3583-4690

北條芽以(ほうじょう めい)
神奈川県鎌倉市生まれ。情報誌編集者を経てフリーライター、料理本の編纂を行う。好きなのは炭水化物(特にごはん)とお肉の組み合わせ。お酒はあまり飲めない。「左手にごはん茶碗を!」

Column

北條芽以のLOVEレストラン

美味なるLOVEなひと皿を求めてレストランに通う日々。
著者が偏愛する、この季節、このお店のLOVEはいったい何? あなたの次のレストラン選びに参考になること間違いなし!

2013.04.10(水)