LOVE:ジンギスカン
北海道の上質羊肉を赤坂で

赤坂|札幌成吉思汗 しろくま

こちらが白糠のめん羊牧場のラムちゃん。キメの細かさにもうっとり

 赤坂で食事をする前に時間があくとわかったときに、以前から行きたいと思っていたジンギスカン屋さんに行くことにした。祖母が北海道出身の私にとってジンギスカンはとても身近で、神奈川県でも有数のジンギスカン消費家庭に育ったのではないかと思う。

 ジンギスカンはビールに合うという。しかし、そんなことはどうでもいい。ごはんさえあれば(あ、ビールがお好きな方はどうぞ存分に召し上がれ)。ジンギスカンのたれというのはそれだけでもごはんに合うしろもの。そこに羊の油が混じっていくものだから、どんどんごはんにフィットしていく、まさに魔性の味! ごはんなしには語れない料理のひとつだと思うのである。

 しかし、私が小さい頃はロール状になった羊肉を凍ったままスライスして焼くような昭和のジンギスカン環境。平成のジンギスカンブームを経てだいぶん羊の良さを活かしたジンギスカンが普及してきているが、それでもいい加減な肉を使っている場合も多いし、甘いばかりで羊の味を消してしまうようなタレもままある。

 そんななか、ここでは上質のラムが食べられると聞いてはいたが、まさか「茶路めん羊牧場」の肉を食べられるとは思ってもみなかった。「武藤さんの羊」とも呼ばれる、このラムは本当に美味しい。この素敵な羊との出会いはフランス料理店。ほんの短い期間しか食べられない乳飲み仔羊の、しかもさまざまな部位を食べる料理目掛けてそのレストランにおじゃましたとき、武藤さんご本人がカウンターでお隣だったこともある。丹精込めて育てた味を確かめに、北海道から飛んできているのだ。ご縁あって牧場に行ったこともあって、「食べちゃうのが実は切ない」と武藤さん自身がおっしゃるくらい可愛がられて育つ仔羊たちを見た。

 とまあ、そんなふうに大事に育てられ、フレンチでもキャーとなったラム肉をジンギスカンでごはんと一緒に食べられるというのだからなんという幸運! 値段は倍くらいするけど食べちゃうわ!

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2013.04.10(水)