年の近い人と一緒に舞台に出るのはうれしかった
――おふたりは2019年まで4年連続で8月に歌舞伎座で梵太郎と政之助を演じていますが、初共演はいつになりますか?
染五郎 父の『鏡獅子』(2013年10月国立劇場)で胡蝶の精をふたりでさせていただいた時です。僕が1歳下なのですが、年の近い人と一緒に舞台に出るのは初めてのことだったのでうれしかったです。
團子 僕が團子を襲名して初舞台をさせていただいた次の年でした。今もそうですが、当時は歌舞伎のことを何も知らなくて、学校へ行けば友達がいるように歌舞伎の世界にも同世代の仲間がたくさんいるだろうと思っていたんです。
――ところが、そうではなかった。
團子 だから、あ、いたんだ! と。幸四郎さんに食堂に連れて行ってもらったりして、あの時は皆さんに本当に良くしていただきました。いっくんも「うるさい奴来たな」みたいな感じで絡んでくれましたし。うっとうしいと思っていたかもしれないけど。
――実際はどうだったのでしょう?
染五郎 思ってました(笑)。
團子 (笑)。
――染五郎さんから見た團子さんはどんな印象ですか?
染五郎 とにかく明るい。テンションの低い日を見たことがないです。
團子 あるよ! そういう時くらい。
染五郎 でも僕は見たことないです。とにかく本当にお芝居が好きなんだなと思います。自分のお芝居だけでなく作品に対してもすごく掘り下げて考えていて、納得がいくまでやろうとするんです。そういうところはすごいなと思います。この図夢歌舞伎の収録時もOKが出ているのに「もう1回やりたいです」と言って撮り直していましたし。
――團子さんから見た染五郎さんは?
團子 すごい冷静です。僕なんかはカァーッと突き進んじゃうところがあるんですけど、いっくんはならない。いつも冷静でちゃんと分析している気がします。そしてしゃべらない人です。
染五郎 (笑)。
團子 言葉に出すタイプではないんですけど、でもちゃんと反応してくれているな、というのは伝わって来るので、一緒にいて安心感があります。心のなかではお互いにちゃんと伝わっている。と、思っているけど……。僕が勝手に思っているだけかもしれない。
染五郎 (微笑)。
團子 どうですか?
染五郎 そうだと思います。
2021.01.09(土)
文=清水まり
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=市川染五郎:AKANE、市川團子:森智聖(VRAI Inc.)
スタイリスト=中西ナオ