尾上菊之助さん5年越しの夢 新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

 まもなくディレイビューイングとして上映される新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』は、2019年12月に新橋演舞場で上演された新作歌舞伎。

 前売り開始まもなく全公演のチケットが売り切れたその舞台は、映画では描かれなかったその後のストーリーや宮崎駿監督の原作に基づく構想を、歌舞伎という伝統芸能の世界に凝縮させて大きな話題となった。

 公演にさきがけてメインキャラクターのビジュアルが公開されると、原作や歌舞伎のファンはもちろんのこと、ファッションに敏感な女性を始め多くの人々の関心を集めることに。

衣裳スタッフが明かす『ナウシカ』製作秘話

 この企画の発案者であり主人公のナウシカを演じた尾上菊之助さんは、記者会見の席で次のように語っている。

「古典歌舞伎に準じたものにしたいと考えていますが、主要人物については登場してすぐにそれとわかるように寄り添っていきたいと思います。そして歌舞伎とどう融合していくかです」

 そして菊之助さんから明かされたのは、著名な衣裳デザイナーに依頼するのではなく、常日頃から歌舞伎の舞台を担当しているいつものスタッフが、デザイン画を起こしてひとつひとつつくり上げているということだった。

 そこで全キャラクターの衣裳を手がけられた松竹衣裳の松本勇さんに、新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』誕生までのクリエイションについてうかがった。

2020.02.07(金)
文=清水まり
撮影=末永裕樹