弥次喜多シリーズを振り返って感じる成長

――歌舞伎座での『東海道中膝栗毛』第1作で初めて梵太郎と政之助を演じたのは、小学6年生と中学1年生。振り返って何を思いますか。

 團子 最初はただただ真面目な少年というイメージだけで、何も考えずにやっていたように思います。

 染五郎 (頷く)。1作目が終わって父と猿之助のおにいさんが「またやりましょう」みたいなことを話しているのを聞いてわくわくしたのを覚えています。

 團子 1作目のオープニングでのBGMが僕は大好きなんですが、とにかく楽しかった思い出ばかりなので、2作目が決まった時は、また出られる! とうれしかったです。

――気が付けば毎年夏の恒例になりました。お芝居そのものだけでなくおふたりの成長を楽しみにされている方もたくさんいらっしゃいます。

 染五郎 お芝居の中で前作からどのくらい月日が経っている設定になっているのかはわかりませんが、梵太郎と政之助と共に成長しているという感じています。だからといって特にそれを意識することもなく、その時の自分を反映させて演じているというか……。

 團子 同じです。

――おふたりにとって弥次喜多シリーズはどんな作品というか、存在でしょうか。

 染五郎 子供の頃からの夢や憧れを実現させていただいた場です。宙乗りも本水の立廻りも経験させていただきましたし、ほんの少しの場面ですが『勧進帳』の弁慶のようなことも。自分にとってすごく貴重なことで、ありがたいなと思います。

 團子 一番の印象はマジで面白い!! ということです。現代っぽいことをしても歌舞伎になっているのがすごいと思います。でもそれは古典を勉強してきちんと身についている先輩方が演じるからであって、古典の基礎は大事なんだと改めて気付かされました。

2021.01.09(土)
文=清水まり
撮影=山元茂樹
ヘアメイク=市川染五郎:AKANE、市川團子:森智聖(VRAI Inc.)
スタイリスト=中西ナオ