何歳になっても観てしまう人生のバイブル的作品
『29歳のクリスマス』
もはや言わずもがな、という感じですね。クリスマスドラマといえばまっさきに名前を挙げたい名作です。昔は12月になると夕方のフジテレビで頻繁に再放送をしてくれていました(頼む、またやってくれ!)。
まず主題歌がマライヤ・キャリーの「恋人たちのクリスマス」という時点で最高。しかしその曲の権利上の問題から、今までDVD化がされてきませんでした。今はFODで観られるのでありがたいです。
物語は共同生活を送る典子(山口智子)、彩(松下由樹)、新谷(柳葉敏郎)の3人の友情を軸に、それぞれの恋や仕事を絡めて描いています。仕事のこと、恋愛や結婚のこと、自分のキャリアのこと……大人になっていく上で誰しもが経験する葛藤を描いているので、ついつい自分自身の人生と重ねて観てしまいます。
3人の生き方は、それぞれ本当にかっこいいんです。まだ20代の方はお手本として、30歳を超えた方は復習として、折に触れて観るべきかもしれません。
とくに素晴らしいのが、心にぐさっと刺さる名言の数々です。好きなものを少し紹介していきます。
「私は自分の力で生きてきたの! 私の足で歩いてきたの! あっちへぶつかり、こっちにぶつかりしながら、傷をいっぱいつくって生きてきたの! 頭に10円ハゲつくりながら、それでもなんとか生きてきたの! 生まれてから1度も自分の足で歩いてきたことない人間にほいほいしっぽ振ってついていってたまるかっていうの! バカにしないでよ!」
「私は自分の人生は、自分で切り開いていくの。関係のない人にすがって、生きていきたくはないの」
「あなたは本気で人を好きになったことが無いのよ。人を好きになるって、何かをしてあげる何かをしてもらう、そういうことじゃないのよ。自分の人生をその人にぶつけてしまうこと。傷つけたり傷つけられたりしながら、忘れられなくなってしまうこと。会っちゃいけないって思いながら、会いたくて会いたくて、ひとりで泣いてしまうこと」
「幸せのなかに、ポツンポツンと不幸があるのと、不幸のなかに、ポツンポツンと幸せがあるのどっちがいい?」
「私は好きだよ。今の自分が、今の人生が」
なんかもう、文字を追うだけで目頭が熱くなります……。これ以外にもまだまだ名言はたくさんあるので、確認してください。みんな幸せになるために生きているんですよね。3人の友情に乾杯。明日も頑張ろ。
『29歳のクリスマス』
1994年・フジテレビ系列で放送
出演:山口智子 柳葉敏郎 松下由樹 仲村トオル ほか
<動画配信>
フジテレビオンデマンド(FOD)にて配信中
2020.12.19(土)
文=綿貫大介