恋愛って、時代によって左右されへんもの。だからおもろい
――それぞれのカップルの物語を想像するんですね。
そうですね。フラれるかもしれないと不安に思いながら、付き合ってるカップルって多いじゃないですか。
やから、“このカップルは、どっちがそういう不安を抱えてるんやろう?”って考えることが多いかもしれないですね。
特に学生の恋愛は長く続かないことがわかっているので、いずれは別れるという目線で眺めながら、所作のひとつひとつから感情を読み取ることはよくしています。
――「ずっと好きでいるか?」というお父様の問いに対しての答えは見つかりましたか?
中学時代に付き合った人と結婚する場合もありますけど、それってごく稀じゃないですか。
基本、難しいことだとわかったので、学生時代の恋愛は最高の相手を見つけるためのものなのかなと。数々の恋愛を通してたくさん失敗したり、アホみたいに悩んだりしながら経験を積んでいくことなのかなと思いました。
恋愛って、時代によって左右されへんものじゃないですか。どの世代でも中学生くらいになったら異性に興味を持ち始めて、異性に抱くこの気持ちはなんだ? と考え始める。
スマホが普及しようが、結局は同じようなことで悩んでいる。そういうところがおもろいですよね。
――好意という実態のない感情に振り回されるわけですもんね。
例えば、愛想の悪い店員さんに遭遇したとしても、僕は“あぁ、この人も恋愛で胸を痛めたことがあるんやなぁ”と。
好きな人に対して心がギュッとなる経験をしたことがあるんやなぁと思うだけで、急激にその人がかわいく見えて、すべて許せてしまう。恋愛には、そういう力があると思っています。
2020.11.15(日)
文=高本亜紀
撮影=平松一聖