人を好きになる気持ちを大事にして欲しい
――恋愛とは人生を左右するほど大切なものだと。ただ、最近、恋愛しない人が増えてると言われています。
ほんまに人を好きになったことがないとか、人を好きにならないっていう人がいるって、確かに聞きますよね。
もちろん、それでもいいと思います。ただ、今そう思っている人にも、必ず好きな人に出会うときが来るはずです。
そういう人と出会ったとき、自分がどう変わってしまうのか。人を好きにならんとか大口叩かんほうがいいぞ、と。
「あんなこと言ってたわ、俺」って人を好きになってから後悔するから、と言いたいですね。
――人に与える恋愛の影響は大きいと。
圧倒的です。嘘みたいに夢中になって、服も買いに行くから。買いに行く店も気にするようになるから。絶対に髪型も気にするようになるから、って。
人を好きになる気持ちを大事にして欲しいですね。
『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
福徳秀介 小学館 1,500円
大学2年生の僕は、入学前に憧れていた大学生活とはほど遠い、冴えない毎日を送っていた。日傘をさしていつも人目を避け、青春を謳歌しているグループを妬ましく思う。友人はひとり。銭湯掃除のバイトと孤独な大学生活だけの毎日。ある日、大教室で学生の輪を嫌うように席を立つ凜とした女子に出会う。その姿が心に焼き付いた僕は、次第に深く強く彼女に惹かれていく。やっとの思いで近づき、初デートにも成功し、これからの楽しい日々を思い描いていたのだが……。ピュアで繊細な「僕」が初めて深く愛した彼女への想いは実るのか。そして、僕の人生の、その先は……。
2020.11.15(日)
文=高本亜紀
撮影=平松一聖