選ばされた道と闘っていくこと

――そして、『鉄人28号』(2005年)では弱冠15歳にして、映画初主演を務めます。本作もオーディションだったと思いますが、こういった状況に対して、戸惑いみたいなものはあったのでしょうか?

 自分はそんなことをやりたいわけではないので、戸惑いというより、正直イヤでした(笑)。やる気があるコたちばかりなのに、僕はどこかで落ちにオーディションに行っているような気持ちでしたから。でも、変な話、負けず嫌いな性格なんですよ(笑)。負けたくない気持ちもありながら、生意気にもそこまで一生懸命にはなっていない、とどこかで冷めている。ただ、これも今になって思うことですけれど、自分が選んだ道というより、選ばされた道じゃないですか。でも、選ばされてしまったからには、きっとやらなきゃいけないことがたくさんあって、自分はそれと闘っていかなきゃいけないって思うんです。ホント、人生ひっくり返りましたから。

――つまり、その頃には野球選手の夢を諦めていた、ということですか?

 中学で難しそうだなと気づき始め、高校に入った頃には、これは無理だと(笑)。変な話ですが、スポーツって早い段階に、これで将来食べていけるかどうかって、自分の限界が見えるものじゃないですか。それは、とてもいいことだと思うんですよ。それを糧に新たなことを始められるわけですから。僕も、野球選手を諦めた頃、今の自分には役者の仕事がなくなったら何も残らなくなるんだろうな、ってことに気付き始めていましたし。

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2013.02.22(金)
text:Hibiki Kurei