一体しかない正座するモアイ像
![900年頃の初期のモアイ像の特徴を表すモアイ・トゥク・トゥリ。タヒチのティキに通じるものがあるとされています。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/b/1/-/img_b133b0c4ac505b473e4d87395e23ac69165235.jpg)
![モアイ・トゥク・トゥリはイースター島で唯一足があり、正座までしています。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/7/c/-/img_7c936e1c9806d2e1148b8fc2d099eeb9199289.jpg)
中でも、いちばん見てみたかったのは、岩山の影にひっそり佇む「モアイ・トゥク・トゥリ」。“トゥク・トゥリ”とは“ひざまずく”という意味があり、およそ1,000体のモアイの中で唯一足を持ち、しかも正座をしています。
最盛期の1500年頃のモアイは精悍な顔立ちなのに対し、モアイ・トゥク・トゥリはずんぐりむっくりとした体形で、人間臭い顔立ち、900年頃の初期のモアイ像とされています。この頃のモアイは、タヒチのティキ像に似ているともいわれています。
![ラノ・ララクから望む、海辺に並ぶアフ・トンガリキ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/a/5/-/img_a5d76835fe06042fe61037cf9d6d2d23121353.jpg)
この像が発見されたのは1956年、ノルウェーの探検家トール・ヘイエルダールを含む調査団によって。ローカルのガイドが「こっちに来い、いいものがあるから」と誘うけれども、最初は相手にしなかったヘイエルダール。けれど、他のローカルたちが肘でつついて「黙っていろ」と囁くのを聞いて、「もしや……」と。そして案内してもらったところ、1メートルほど頭だけが露出したモアイ・トゥク・トゥリを見つけたのだそうです。
2020.02.01(土)
文・撮影=古関千恵子