心に沁みる豊かな
サウンドの「第九」
東京フィルハーモニー交響楽団
令和元年特別『第九』演奏会
1911年に創立された「日本最古のオーケストラ」東京フィルハーモニー交響楽団。
人気の定期演奏会のほかに、オペラのピットにも頻繁に入り、ヨーロッパの本場の歌劇場に劣らぬ優れたサウンドを醸し出す彼らは、世界的なマエストロと強い絆を保つオケとしても有名だ。
イタリアものからロシアもの、ドイツものまで幅広く演奏し、色彩豊かなハーモニーで聴衆を楽しませてくれる。
年末恒例のベートーヴェン『第九』で指揮台に立つのは、オケと長年の信頼関係で結ばれた名誉音楽監督チョン・ミョンフン。
現在の東京フィルの幹となるサウンドは、長年アドバイザーとして関わったマエストロ・チョン・ミョンフンが基礎を作り上げたとも言われている。
大地の息吹きと地熱を感じさせる雄大な音は、オーケストラの貴重な財産だ。
『第九』はベルリンの壁が崩壊したときに象徴的な「平和と友愛」の音楽として演奏されたが、マエストロ・チョン・ミョンフンと東京フィルは令和のはじまりを祝福する曲としてこれを奏でる。
声楽ソリストにはワールドワイドに活躍する日本人歌手たちが選ばれ、合唱は最高のクオリティを誇る新国立劇場合唱団。
エルガーの『戴冠式頌歌』より第6曲「希望と栄光の国」が演奏されるのも、他の『第九』演奏会にはない試みだ。
マエストロと東京フィルが令和元年の年末に贈る特別プログラム。成熟したパートナーシップが聴かせる、栄えあるコンサートとなるはずだ。
東京フィルハーモニー交響楽団
ベートーヴェン『第九』特別演奏会
●2019年12月19日(木) 19:00開演
会場 東京オペラシティコンサートホール
●2019年12月20日(金) 19:00開演
会場 Bunkamura オーチャードホール
●2019年12月21日(土) 19:00開演
会場 サントリーホール
問い合わせ先 東京フィルチケットサービス
電話番号 03-5353-9522
https://www.tpo.or.jp/
2019.12.03(火)
文=小田島久恵