2019年11月23日(土)、38年ぶりにローマ教皇が来日します。
国際平和を常に希求し広島、長崎を訪問予定。多くの注目が集まっています。
とはいえ、キリスト教徒でないと「教皇」は遠い存在……。
そこでバチカンに隣接するイタリア在住の大平美智子さんが、肌で感じる教皇の「素顔」に迫ります。
核ボタンと間違われて!?
前代未聞の庶民派な教皇
「もしや、核のスイッチでも入っている……のでは!?」
2013年の就任後、フランシスコ教皇による初のミッション・フライトのこと。超絶VIPたる教皇自らが黒いカバンを持ってタラップを上がる姿に、世界中が騒然としました。
「そんな写真が出回って私のほうがびっくりしました。核ボタンなんか、とんでもない(笑)。髭剃りとか手帳とか、読みかけの本とか。旅にはいつもカバンを持っていくし、みなさんそうしますよね? 私もそうしてきました。普通が一番ですよ」
フランシスコ教皇はサン・ピエトロ大聖堂での説教やインタビューで尊大なふるまいは一切なく、いつもユーモアたっぷり。時事問題も巧みに取り入れながら「みんなで一緒に考えてゆこう」という語りかけは、優しく、時にハッとするほど鋭く、心に染み込んできます。
全世界のキリスト教カトリックの総本山、バチカンに君臨する権威あるおかたに失礼ですが、知れば知るほどそのお人柄にほっこりする「優しいおじいさん」なのです。
カトリック史上初の
「フランシスコ」
という誉れ高き名を冠して
2013年のコンクラーベ(平均年齢71歳 115人の枢機卿たちによる教皇選出会議)で選出された第266代ローマ教皇の本名はホルヘ・マリオ・ベルゴリオ。当時76歳と高齢でした。
権威あるバチカンも21世紀のポピュリズムの波に乗ったのでしょうか。イタリアはピエモンテ出身の両親をもつイタリア系アルゼンチン人で、移民の息子でもある彼が教皇に。
加えて、ヨーロッパ以外からの教皇が選ばれたのはなんと1272年ぶり。イエズス会宗派からの教皇は史上初! そして、カトリックの歴史上最も尊敬される聖人の名、フランシスコを命名されたのも史上初なのです。
2019.11.23(土)
文=大平美智子