「彼女のダンス」を
「渋井直人」の監督にプレゼン

光石 実は、ドラマの打ち合わせで、僕が監督の松本佳奈さんに、スクーターズとか、いろいろドラマに使ってほしいなと思う音楽を推薦したんですよ。思い出野郎もそのひとつだったんです。

──ということは、「ステップ」に決まった背景には光石さんの推しがあったわけですか。

光石 そのプレゼンでは「彼女のダンス」(セカンド・アルバム『夜のすべて』収録)を参考にしてもらったんです。「これピッタリじゃないですか」って。

高橋 マジですか! うれしい!

──光石さん、そういうプレゼンって、わりとされるんですか?

光石 しないです(笑)。初めてです。でも、「渋井直人の休日」は僕が主演だから許してもらえるかなと思って(笑)。そしたら監督の松本さんが思い出野郎とは多摩美で先輩だったという縁もあったりして、実現することになりました。

高橋 しかし、「彼女のダンス」を光石さんが好きだったとは。やっぱり相当スウィート好きだし、思い出野郎のリスナーとしては相当に玄人ですよね。われわれを知ってくれてる人じゃないと、あの曲はなかなか選ばないですよ。

光石 えー? そうなんですか?

高橋 ライヴでもほとんどやってないですし。ちょうど光石さんが初めてみてくれたWWWのワンマンで、斎藤がミスった曲が「彼女のダンス」ですから(笑)

──まさかそれがこんなに重要な曲になるとは!(笑)

高橋 特に言われてもいなかったし、まったく意識してなかったですけど、期せずして「ステップ」は「彼女のダンス」となんとなく繋がりがある気はしますね。

2019.11.11(月)
構成・文=松永良平
撮影=佐藤 亘