能と歌舞伎と和太鼓が融合
これまでにない芸術作品に
![2019年9月27日(金)より公開されるシネマ歌舞伎 特別篇『幽玄』。演目のひとつ『道成寺』では、玉三郎さん演じる白拍子が羯鼓(かっこ/腰につけて撥で打つ鼓のこと)を打つ。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/d/-/img_ed4ed9a463d97ec1365419e7a8e7285093992.jpg)
歌舞伎の舞台公演を映像で楽しむ「シネマ歌舞伎」の新作は、2017年に博多座で上演された『幽玄』を収録したもの。
歌舞伎界の至宝である坂東玉三郎さんが、かつて芸術監督を務めた太鼓芸能集団の「鼓童」と共演した待望の作品である。
![同じく『道成寺』より。烏帽子をつけて、中啓を持って白拍子の舞を舞う場面。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/e/a/-/img_eadeee2a1d62cae83c65916691209bfa65936.jpg)
玉三郎さんは、能楽と歌舞伎という日本の伝統芸能と、和太鼓を中心に創作活動に取り組んで新境地を拓いてきた鼓童を融合させ、この新作をこれまでにない芸術作品として完成させた。
イントロダクションとして収録されているシネマ歌舞伎のための特別映像では、玉三郎さんの言葉でその過程や作品への思いが語られている。
![『道成寺』より。烏帽子をつけた白拍子と背後には桶太鼓を演奏する鼓童のメンバーたち。演奏はもちろん、美しいフォーメーションを描く様子も見応えあり。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/c/c/-/img_cce330df4fa062d99e6bc278445bf63456137.jpg)
自身が主演として舞台に立つだけでなく、演出、映像の編集、監修まで手がけ、その才能と培った知識と経験を惜しみなく注いだ。まさに、表現者としての集大成ともいえる作品なのだ。
2019.09.20(金)
文=山下シオン
写真=岡本隆史、谷内俊文