“歌舞伎界のサラブレッド”として注目を浴びている片岡千之助・18歳。インタビュー2回目では、現在公開中の、女方に挑戦したシネマ歌舞伎『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』の裏話から、将来の展望、私生活についても語ってくれました。

女方を演じるうえでの苦労

――では、私生活のお話をきかせてください。映画鑑賞やマンガを読むことがお好きなようですね。

 フランスが好きだったこともあって、高校1年のときに『ミッドナイト・イン・パリ』を観て以来、ウディ・アレン監督の作品が好きになりました。このあいだ、大学の学科の推薦図書で、『トリュフォー―ある映画的人生』を読んだので、これからはフランソワ・トリュフォー監督の作品も観たいと思っています。映画館で観るのも好きですが、ネットフリックスで観るのも好きなんです。だから、将来は役者として、映画にも携われたらいいなとも思っています。マンガだったら、『NARUTO -ナルト-』『ONE PIECE』『BLEACH』『坂本ですが?』『名探偵コナン』……挙げるとキリがないんですが、とにかく好きなんです(笑)。あと、好きなアーティストは、マイケル・ジャクソンとデヴィッド・ボウイ、青学の先輩である尾崎豊さん。最近では、アヴィーチーが亡くなったのもショックでした。

――今回劇場公開される、シネマ歌舞伎(歌舞伎の舞台公演をHDカメラで撮影し、映画館の大スクリーンでのデジタル上映で楽しむ)『東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖』。ここで、坂東巳之助さん演じる伊之助の妹・お園役を演じられています。

 新作で、面白くて、出ている僕も後ろでクスッと笑ってしまうような演出や、シナリオが2つに分かれていて、お客様の拍手の数で変わる展開など、いろいろ詰まった作品だと思います。僕にとっては、初めての女方だったので、声の出し方だったり、袖を持つ仕草だったり、すべてが初挑戦の連続でした。じつは、みなさんとお稽古を合わせるときに、喉をやられてしまって、全然声が出せなかったんです。それぐらいギリギリな状況だったんですが、父に女方としての言い回しや仕草を教えてもらいながら、それをマネすることで、なんとか初日を迎えることができました。

2018.06.22(金)
文=くれい響
撮影=白澤 正