松本零士の映像作品は
音楽もまた素晴らしい!

 特に注目していないにもかかわらず、やたらとある人物のネタが勝手に視界に飛び込んでくる現象がたまにある。私はこれを「神様のアプローチ」と呼んでいる。

 そしてこの春。ドエラいきっつい花粉とともに、神様のアプローチは訪れた。それは松本零士作品。

 道を歩けば『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』のポスターが目に入り「おおっ」。本屋に行けばマンガ『銀河鉄道999 ANOTHER STORY アルティメットジャーニー』が目に入り「ぬぬぅッ」。

 マイ・スプリングはなにげなく松本零士テイスティ。うーむ、たまらなくミステリーだ。これは偶然? それとも必然?

 答えは公式HPを見てすぐにわかった。必然も必然。2018年は松本零士先生生誕80周年、『銀河鉄道 999』40周年。

 神様のアプローチ、それはアニバーサリーの余韻だったのである。もう少し早く気付かせてよ、オーマイガーッド!

 松本零士作品といえば、宇宙&ロマン&生命&アドベンチャーが絶妙なミックスフレイバーを醸し出している世界観。

 その素晴らしさは言うまでもないが、音楽もこれまた見事なまでにド名曲揃い。聴けば最後。仕事にならない。覚悟はしていたが、視聴&動画サーフィンで深い深いデンジャラス・ゾーンにはまってしまった。

 『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の主題歌、ジュリーの「ヤマトより愛をこめて」を久々に堪能したことで心のたき火に火が付き、ささきいさお「真赤なスカーフ」、堀江美都子「別離」、「銀河鉄道999」に飛んでこれまたささきいさお「青い地球」、そこからさらに「1000年女王」に飛んで高梨雅樹「コスモスドリーム」。

 10年は夢のよう 100年は夢また夢。1000年は夢また夢また夢とくるかと思いきや「一瞬の光の矢」。ひいぃ作詞家天才すぎ。誰? エエッ阿木耀子やんホンマに天才が作ってたーッ、と一人ボケツッコミをしながら延々聴いてしまった。

 松本零士作品で育ったヤマト世代の諸君。君たちなら気持ちをわかってくれるだろう。レッツゴーイスカンダル!

 ……とまあ、ヤバいテンションになりながらあの曲この曲渡り鳥をしているうちに、わたしはどうしてもあるアーティストのCDが欲しくなった。その人こそ1982年の映画『わが青春のアルカディア』の主題歌を歌った渋谷哲平である。

 数十年前、この曲を初めて聴いた時、

「えっ渋谷哲平ってこんないい声してたの?」

 とビビった記憶が甦ったからだ。そして、数十年が経った今、視聴して再びビビった。

 私の人生2度もビビらせた哲平ボイスを今一度確認したい。いや、しなければなるまい。

 よし。波動エンジン用意。準備よし。渋谷哲平ベスト盤、ワープ(お急ぎ便)!

2019.04.20(土)
文・撮影=田中 稲
画像=文藝春秋