自分を惹きつける土地には
ユーミン印が捺されている
2006年にリリースされた『A GIRL IN SUMMER』に収録された「哀しみのルート16」は、国道16号線をモチーフにしています。この道路は、横浜線とはまた別の形で横浜と八王子をつなぐ経路ですよね。
この界隈には、ユーミンの地元である八王子以外にも、大瀧詠一さんが拠点を置いた福生など、僕の音楽的興味をくすぐる街がいっぱい。
そもそも多摩地区のみならず、僕が関心を示すようなスポットには、ことごとくユーミンが関わっているんですよね。ツボが押さえられていて、経絡のごとし。
横須賀、本牧、山手、湘南、飯倉……。すべてにユーミン印が捺されています。
僕は高校をドロップアウトした後、神宮前に住んでいた時期があるんですけど、絶対にここじゃないという実感があって、世田谷の用賀に越したんです。その途端に、曲がいっぱいできるようになった。
近くを流れる多摩川の水のパワーなのかなと勝手に思ったりもしたんですが、考えてみると、用賀はユーミン邸にも近いし、旦那さんである松任谷正隆さんが代表を務める「マイカミュージックラボラトリー」もここにある。
恐らく、音楽にいい影響を与える何かが秘められた場所なんでしょうね。
2018.11.08(木)
構成=下井草 秀(文化デリック)