東洋一のサウンドマシーン、クレイジーケンバンドを率いる横山剣さん。その常人の域を超えた旺盛なクリエイティヴィティにインスピレーションを与える源泉のひとつが、魅力的な女性たちの存在。これまでの人生で恋し憧れてきた、古今東西の素敵な女性について熱く語ります!


#010 浜美枝

浜美枝(はま みえ)

1943年東京都生まれ。中学校卒業後、東急電鉄に入社。59年、オーディションを経て東宝に入社する。60年に映画『若い素肌』で女優としてデビュー。その後、クレージーキャッツ主演作や『キングコング対ゴジラ』など、多数の映画に起用される。67年には『007は二度死ぬ』でボンドガールを演じ、世界中から注目を浴びる。70年の東宝退社後は、テレビに軸足を移し、多数のドラマに出演する他、「小川宏ショー」(フジテレビ系)、「日曜美術館」(NHK)などの番組で司会を務める。ライオンの洗剤「トップ」のCMにも長年出演した。

白いビキニを着た海女さん?

 浜美枝さんといえば、何と言っても、1967年に公開された『007は二度死ぬ』でのボンドガールとしての印象が鮮烈です。

 まだ小学生だった僕がこの作品の存在を知ったのは、マテルというメーカーのミニカーを通してのことでした。

 親にねだって自由が丘のおもちゃ屋さんで買ってもらったトヨタ2000GTのオープンカーをひっくり返すと、お腹のところに『007は二度死ぬ』という日本語の文字が書いてある。映画とのタイアップで作られた商品だったんですね。

 ミニカーでありながら、映画同様に、ボタンを押すとミサイルをピューッと発射する仕掛けが施されていました。ただ、迂闊に飛ばしてばかりいるとミサイルをなくしちゃうから、友達がボタンを触ろうとするたび、「ダメ!」って必死に止めましたけどね(笑)。

 『007は二度死ぬ』は日本を舞台にした映画。その突拍子もない日本の描写から、ある意味カルト的な人気を得ています。柔道着に身を包んだ忍者が姫路城で剣道の特訓を受けていたりと、見どころは満載。

 浜美枝さんが演じたキッシー鈴木という役もかなり奇天烈です。だって、海女なのに、白いビキニ着てるんだから。しかも、ショーン・コネリー扮するジェームズ・ボンドは、スパイ活動のためにこの海女さんと結婚し、漁師になるんです(笑)。羽織袴を着て三三九度までやっちゃう神前挙式のシーンは必見ですよ。

2019.10.10(木)
文=下井草 秀(文化デリック)
写真=文藝春秋