馬肉と羊肉のおいしさに取りつかれる
なにより、アルマトイの居心地を最大限にしてくれたのは、食材のおいしさだ。
カザフスタンの定番食材といえば、馬肉と羊肉、乳製品。とくに馬肉がおいしくて、滞在中、毎日食べても飽きることがなかった。臭みもないし、お腹いっぱい食べた翌日も、胃がもたれない。
日本では馬刺しぐらいでしか食べることがないけれど、こちらでは、ピザの具にも、ステーキにも、串焼きにも、使われている。
気に入ったのは「ベシュバルマク」。茹でたラビオリ風の麺の上に蒸した馬肉や馬肉ソーセージ、玉ねぎなどをのせた、カザフスタンと隣国キルギスの伝統料理だ。
現地の言葉で「5本の指」を意味するこの料理は、その名のごとく、もとは遊牧民が手でつかんで豪快に食べていたものなのだそう。茹でた馬肉の出汁は旨味たっぷりで、日本人の口にはなじみやすい。
羊肉料理は、中央アジア全般で食べられている串焼きの「シャシリク」が定番。窯でじっくり焼いた大ぶりのラムチョップは、羊好きにはたまらないご馳走だ。
店で必ずといっていいほど勧められるのが、揚げパンの「バウルサク」。外側はパリッとしているけど中はふわふわしていて、甘くないドーナツのような感じ。テーブルに置いておくと、つい手が伸びいつの間にか平らげてしまう。
アルマトイに来てその日に食べた馬肉と羊肉は、想像以上のおいしさだった。すっかりその味に胃袋をつかまれてしまった私たちは、「バーべキューにして、思い切り食べよう!」と思い立ち、スーパーマーケットへ。
ミートコーナーには新鮮なお肉が並んでいるし、ワインの棚にはカザフスタン産はもちろん、近隣国ジョージア産も豊富にある。おつまみになりそうなチーズの種類もたくさん。
宿泊していたホテルがキッチン付きのアパートメントタイプだったことを幸いに、私たちは2晩にわたり、中央アジアのワインとともに、大いにこの国の食材を堪能した。
2018.08.21(火)
文・撮影=芹澤和美