ジャン・コクトーらに愛された町
さらに散策をしていると、風に乗って、管楽器のような、打楽器のような、層のある不思議な音色が石造りの建物の合間から流れてきました。
音源をたどると、行きついたのは年月を経た教会。少し開いた扉の隙間から中へ滑り込むと、音の正体がわかりました。薄暗い室内はパイプオルガンの響きで満たされ、教会自体が楽器のよう。
一人で練習をしている奏者の邪魔をしないよう、気配を消しつつ、心洗われるような調べにしばらく聞き入りました。旅で出会った偶然は、宝物です。
坂道のふもとまで降りると、港に面してカラフルに彩られたレストランやホテルがずらりと軒を連ねています。レストランでは流しのバイオリン弾きの曲に耳を傾けながら、ワインを手に午後を楽しむ人々で賑わっています。
背後の山からは入道雲がもくもくと湧いてきています。初夏のコートダジュールの気持ちのいいこと!
後になって、この気候の良さから、ヴィルフランシュ・シュル・メールはジャン・コクトーなど、多くのアーティストに愛された町だと知りました。
そして港近くの斬新な教会が、実はコクトーによって修復&装飾されたサン・ピエール礼拝堂だと……。加えて路地のひとつ、オブスキュール通りは14世紀に建造された石のトンネル状の通りで、見るべき場所だと……。
次回のコートダジュールの旅に、とっておきます。
ヴィルフランシュ・シュル・メール
●アクセス ニースのコートダジュール空港から車で30~40分。または、鉄道ならニースからヴェンティミリア行き各駅停車で約8分
●おすすめステイ先 ウェルカムホテル
http://www.welcomehotel.com/english/
【取材協力】
フランス観光開発機構
Column
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2018.07.14(土)
文・撮影=古関千恵子