「ヒデキと恋ができる」名曲10選

 ヒデキ楽曲の中で私が猛プッシュしたいのは、ヒデキと恋人気分(しかも猛烈にラブラブな)になれる、ホットかつスイートかつバイオレンスな情熱ラブソングの一連である。

 なぜなら、ヒデキは、「もしかして私だけにその愛の歌を歌ってる? と勘違いさせる歌唱法」の第一人者だからである。曲によっては熱い熱いセリフまでブチ込まれているので、ヘッドホン推奨。限りなくヒデキとのアローンな環境を整え、妄想ラブロマンスを楽しむのがベストである。

 全曲、控えめに言って気絶するほど悩ましいので注意!

◆「炎」

 ロマンチックな口説き文句を機関銃の勢いで言われるので気を抜かないように。サビの「あなたの心を溶かしてみせる!」では「いやもうすでに溶けてます」と白旗を揚げたくなるオーマイガッドな一曲。(作詞/阿久悠 作曲/馬飼野康二)

◆「情熱の嵐」

 ヒデキ世代なら「君が望むなら!」という歌い出しで、無意識的に「ヒデキ!」というあいの手を入れてしまうだろう。イントロの「うっ! はっ!」という唸りも秀逸。ヒデキは掛け声にすら愛を込めるので、一秒たりとも聴き逃せない。(作詞/たかたかし 作曲/鈴木邦彦)

◆「ちぎれた愛」

 パーカッションの低い響きが「誰にも理解されない孤独な愛」を見事演出。そこからの「ふたりだけにこの愛が生まるぇ~♪」の巻き舌、そして「君をはなすもんか! すきだすきだよすきなんだよぉぉ!」というセリフの2段階にわけてハートを強奪してくる恐るべき仕掛け。

 これをヘッドホンで聴いていた私が、思わず我を忘れ「私もすきーッヒデキーッ!」と叫んでしまい隣の部屋にいた母が飛んできたという愛しくて切なくて情けなさ過ぎるエピソードを生んだほどの超超超名曲。(作詞/安井かずみ 作曲/馬飼野康二)

◆「激しい恋」

 イントロ・間奏にひたすら入る「ヒュイーン!」という効果音は少々謎だが、それも味。「やめろと言われても!」というところで、いまだ自然に右足が上がるという、振りコピのクセが残る人がいたら手を挙げて……(静かに握手)。ジャケットのヒデキの鬼気迫る表情も素晴らしい。(作詞/安井かずみ 作曲/馬飼野康二)

◆「傷だらけのローラ」

 まるで濃厚なフランス恋愛映画を見たような感覚に陥る一曲。ぜひともこの3分8秒間だけ「ローラ」に改名し、ヒデキとの愛のコール&レスポンスを存分に楽しもう。(作詞/さいとう大三 作曲/馬飼野康二)

◆「ブーメランストリート」

 「戻ってきそうな恋人の心」をブーメランにたとえたのは、阿久悠の作詞最大の功績。小指を噛んだりポキッと音がなるほど体を抱きしめたりと、激しいにもほどがあるヒロイン像がこれまた秀逸。(作詞/阿久悠 作曲/三木たかし)

◆「南十字星」

 ハート破壊力がダイナマイト級のバラード。フラれた時、寂しい時に聴くと、沁みすぎるので注意。ヒデキのかすれた「Remember……」は、もはや「歌」ではない。センチメンタルの神様が落とした魂! できれば海と夜空をバックに聴きたい。(作詞/竜真知子 作曲/水谷公生)

◆「愛が止まらない ~Turn it into love~」

 数々の名カバーを生みだした「ノエビア」CM。そんな中、ヒデキがカバーしたのはなんとWinkの「愛が止まらない」! Winkよりも百倍ウェッティ。手が触れあった瞬間何か起こりそうな、そんなセクシーかつメロウな「止まらない」っぷりで、ヒデキの愛と情熱をJIN-JIN-JIN感じること間違いなし。(作詞・作曲/Mike Stock、Matt Aitken、Pete Waterman 日本語詞/及川眠子)

◆「ボタンを外せ」

 「ボタンを外して心を見せろ」という口説き文句の粋なことよ……。「オレはスケベ心で言っているんじゃない。君の本心が知りたいだけだ。さあ、ボタンを外せ!」この脱がせ技というか言い回しが許されるのはヒデキだからか。(作詞/阿久悠 作曲/三木たかし)

◆「サンタマリアの祈り」

 聴きどころは曲のラスト。「サンタ……マリア……」という囁きである。この情念がパッツンパツンに込められた最後の「サンタマリア」のために、それまでの5分20秒があるといっても過言ではない。耳の至福。なので、んもう絶対ヘッドホンで聴こう。(作詞/なかにし礼 作曲/川口真)

2018.07.16(月)
文=田中 稲