今月のテーマ「きみを守る」
【MAN】
粛清対象となった総統のDNA
ヴァントたちは守れるのか
ナチスが栄華を極めていた1940年。ヒトラーの血を受け継ぐ13人の子どもたちは、小さな村にバラバラに振り分けられ、秘密裡に育てられていた。だが、ナチスSS(親衛隊)長官のハインリヒ・ヒムラーにより、部下たちに6番(ゼクス)を除く12人を粛清する命令〈12Feld作戦〉が下される。
SSたちは、9番(ノイン)ことフランツ・ノインがいる村にもやってくる。村ごと全滅させる予定だったが、ノインを守る壁(ヴァント)であるテオ・ベッカーに抵抗され、ノインを抹殺することには失敗。ノインを連れてシュプレリューゲンという町に逃げおおせたテオは、8番(アハト)のヴァントであるナオミ・ライジンガーと出会い、子どもを守るために共闘を決める。
テオやナオミはノインやアハトを守り切れるのか。ヒトラーのDNAを継ぐ子どもたちが狙われている本当の理由とは。ナチをめぐる新たな物語の幕開けだ。
『NeuN』(既刊1巻) 髙橋ツトム
運動神経も鈍く、気も弱いノイン。〈こんな汚れた血〉〈僕達 生きてちゃいけないの?〉と出自を嘆くノインたちを、ナオミは〈悪いのは全てナチだ〉〈二人は生きる権利がマトモにある〉と慰める。ナチ統制下での正義や倫理に翻弄される人々は、苦悩し、生き延びる術を探る。
講談社 650円
2017.12.06(水)
文=三浦天紗子