原作を裏切らないという想い

――これまで数多くの舞台で、原作の人気キャラを演じてこられた松田さんですが、いつもどのように取り組もうと思われていますか?

 大前提として、決して原作を裏切らないということですね。マンガも、小説も、3次元の人間が演じる=実写化するということは、とてもリスキーなことだと思うんですよ。自分が演じることによって作品自体が否定されることが、いちばんダメだと思っています。その役柄を演じることで、作品の魅力がさらに増すぐらいの心持ちでいたいと。人間が演じることで、原作を超えることも稀にあると思いますが、原作を読んだときの共通するイメージは、できるだけ忠実に守りたいとも思っています。

――ちなみに、「男水!」の秀平というキャラに関しては、どのように挑みましたか?

 心の葛藤などもあるので、もういちど青春時代を歩みたいという気持ちで挑みました。あと、秀平ってキャラは主人公でありながら、主人公らしくない面も持っているんですよ。決して前に出るわけでなく、個性的な周りのキャラをいちばん後ろで見守っている感じ。自分はあまりそういった主人公を演じたことがなかったので、そこに関しても嬉しかったですし、ここに集まった役者のみんながそれぞれ出すお芝居に自分も乗っかっていけたらいいな、と思っていました。

――17年の1月から3月に放送され、人気を博した「ドラマ版」に続き「舞台版」でも秀平役を演じるわけですが、「舞台版」のみどころについては?

 舞台を中心に活躍している自分たちが集まって、深夜枠でドラマをやらせていただいたわけですが、これはある種の快挙でもあり、挑戦でもあったと思うんですよ。それを今回舞台でやることは、お客さまにとっての違う景色を見てもらうことになるんじゃないかと。でも、もちろんプールに入るわけではなく、いろんな技法を駆使しているのですが、ハッキリ言って難しいです。内容的には決して「ドラマ版」の続編ではなく、「ドラマ版」を観ていなかった人も楽しめる作品になっていると思います。

2017.05.19(金)
文=くれい響
撮影=佐藤 亘