コーヒーから新たな世界が広がる
喜びの瞬間
味わいの豊かさに気づくことは、新たな世界の扉を開け、暮らしをより楽しむきっかけになるはずだ。お客さんからの幅広いリクエストに応じられるよう、日々感性を磨いているという芦川さんに、その秘訣を教えてもらった。
「なんでも尻込みせずに、トライしてみることが大事だと思います。例えば、これまであまり自分に馴染みのないテイストの本や映画をあえて選んで、その世界観に触れてみるのもひとつ。もちろん、当たり外れはあるでしょうが、きっと新たな発見も隠れているはずです。コーヒーもそれと同じで、いろいろなお店に足を運び、幅広い種類を体験する中で、自分好みの味わいに巡り会うことができると思います」
そんな芦川さん自身も、最近、コーヒーの新たな楽しみ方に出会った。
「もともとカフェインにあまり強くないタイプということもあり、とくにその刺激を強く感じる朝にコーヒーを飲む習慣をやめてみたんです。そうすると、午後にゆっくりと味わう一杯が、格別に美味しく感じることに気づきました。毎日飲んでいるコーヒーも、飲む時間を変えるだけでまったく印象が変わってくる。これは自分の中での驚きの発見でした」
まだ見ぬコーヒーの味わいに目覚めるという点で注目したいメニューが、「カフェ エピセ」というスパイス風味のコーヒー。
「ローズ(花の香り)」、「フレッシュ(カルダモン風味)」、「スウィート(シナモン風味)」の3種類あるスパイスミックスを、それぞれ、粗挽きした豆と一緒にフィルターに入れてドリップしたスペシャルな1杯。これまでに感じたことのないような、エキゾチックなコーヒー体験ができるはずだ。
「私はコーヒーを淹れるとき、フィルターに黒胡椒をひとふりするのが好きなんです。ちょっぴり刺激的な風味が生まれ、こちらもスパイス好きな方にはおすすめですよ!」
2017.04.08(土)
文=中山理佐
撮影=佐藤 亘