映画『グラン・ブルー』の舞台になったホテル
シチリアは地中海の十字路とよばれるように、その地理的な位置から、さまざまな文化がモザイクのように絡み合い、影響をおよぼしてきました。ローマ時代の遺跡だけをとっても、シラクーサ、アグリジェントなど、著名な世界文化遺産が多くのツーリストを集めています。
世界文化遺産、ピアッツァ・アルメリーナのカザーレ別荘跡の「ビキニ姿」のモザイクはあまりにも有名。土砂崩れにより、今世紀半ばまでモザイク画の多くが地中に眠っていた。
エンナの南方40キロの内陸部にあるピアッツァ・アルメリーナのカザーレ別荘跡(ヴィッラ・ロマーナ・デル・カザーレ)もその一つ。ここは、中世に土砂崩れが起こり、20世紀に本格的な発掘作業が行われるまで、地中に眠っていました。そのために、奇跡的にモザイクがすばらしい保存状態となりました。
その代表ともいえるのが、ビキニ姿の乙女のモザイク。ローマ時代にタイムスリップしたかのような錯覚におちいるほどです。
ミシュラン2ツ星「ラ・マディア」の料理。シチリアといえば巨大なポーションの料理がドーンと出てくる印象が強いが、ここはその真逆。わざわざ足を運ぶ価値がある。
モザイクを堪能した後は、車を南に走らせ、リカータという海沿いの町にやってきました。何の変哲もなく、観光地もないこの町に来た理由は一つ、ここにシチリア屈指とよばれるミシュラン2ツ星のリストランテ、ラ・マディアがあるのです。
シェフ、ピーノ・クッタイアの生み出す料理はシチリアの伝統的な料理をモダンな手法で再構築したもの。ともすると世界のファインダイニングが同じ方向を向きがちななか、独自性を保ちつつ、クオリティの高い料理を堪能できます。
21時をすぎると地元の人らしきカップルやファミリーで客席は埋まり、食べ慣れた人たちが醸し出す独特の雰囲気につつまれていました。
世界文化遺産の山岳都市ラグーサの旧市街を遠望する。
シチリアの終盤はタオルミーナへ。2017年のサミット会場といわれているこの街はひたすらツーリストで埋めつくされていました。宿泊せずともぜひ足を運んでほしいのが、14世紀に建てられた修道院を改装したサンドメニコパレスホテル。
映画『グラン・ブルー』の舞台になったこのホテルに一歩足を踏み入れると外の喧噪とは別世界。朝食ではレモンのジェラートをブリオッシュにはさんで食べるブリオッシュ・コン・ジェラートが必食。シーズンオフなら意外にリーズナブルな価格で宿泊できます。
ちょっと予算オーバーという人におすすめなのがヴィラ・サラ。広いテラスからはエトナ山と海が一望でき、朝食つきで1泊1万円程度。
タオルミーナのホテル、ヴィラ・サラから遠望するエトナ山と地中海。1泊1室朝食つき1万円程度のホテルでもバルコニーからこの景色。
サンドメニコパレスホテル
http://www.san-domenico-palace.com/
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- 文・撮影=橋賀秀紀
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