「純正あんみつ」は寒天と小豆色のモノトーン
約10種類の甘味の中の定番は、「純正あんみつ」と「葛切り 黒蜜」。どちらも正統派の甘味ですが、「茶洒 金田中」ならではの個性が光るのは「純正あんみつ」。
一般的なあんみつのビジュアルイメージは求肥餅などが飾られたカラフルなものですが、こちらの「純正あんみつ」は最小の要素でまとめられているため、寒天と小豆色のモノトーン感覚。塩豆、寒天、こし餡、黒蜜という定番の要素に加えて「紫蘇の実」が使われ、爽やかな香りと塩気がアクセントとなり、甘味が凛と引き締まっています。見た目同様、味わいも粋なあんみつです。
もうひとつの定番「葛切り 黒蜜」は、注文を受けてから厨房で型に流して作られる本格派。葛切りと黒蜜を盛った木地椀が2つ並ぶ様子は、無駄な要素が削ぎ落とされた日本的な美しさ。でき立てのなめらかな葛切りには、吉野本葛の繊細な風味が潜んでいます。そのかすかな風味を味わうなら、黒蜜の付け過ぎにはご注意を。
庭を眺めながら美しくも素朴な甘味を味わえば、丁寧に淹れられた「玉露」や「雁ケ音」の旨みもひときわ染みわたるというもの。表参道で和文化の精神を感じながらほっこりするなら、「茶洒 金田中」がおすすめです。
茶洒 金田中
所在地 東京都港区北青山3-6-1 oak omotesando2F
電話番号 03-6450-5116
営業時間 11:30~20:30(L.O.)[ランチ 11:30~14:00]
定休日 不定休
http://www.kanetanaka.co.jp/restrant/sahsya/
小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。
Column
小松めぐみの和菓子で和む、ほっこり時間
落ち着いた和の空間で和菓子をいただき、ほっこり和む、幸せな時間。仕事の合間や散歩の途中に、自分の時間を取り戻せる甘味屋さんをご紹介します。
2016.10.06(木)
文・撮影=小松めぐみ