無駄な要素が削ぎ落とされた日本的な美しさを堪能

茶洒 金田中(東京・表参道)
甘味:三色の餡と白玉餅、純正あんみつ、葛切り

ビルの階段を上ると、日本情緒溢れる入口が現れる。入口に掲げられた看板は本店の三代目店主が書いたもの。

 東京・銀座の老舗料亭「新ばし 金田中」が表参道で手がける「茶洒 金田中」は、目立つ看板もなく、知る人ぞ知る和カフェ。「オーク表参道」の階段を上って2階に着くと、鉄平石を積んだ苔庭が視界に現れ、街の喧噪の余韻が頭からすっと抜けていきます。

店内は42席。どの席からもお庭が見えます。2013年4月にオープン。

 モダンな日本情緒が漂う苔庭と内装は、現代美術作家の杉本博司さんが手がけたもの。庭の景色は、入口から目にするだけでも気持ちが豊かになる美しさですが、店内で席に着けば、まるで舞台を見るような感覚で堪能できます。

 ひな壇状に段差を付けて配置されたカウンターは、長さ10メートルほどの米ヒバの一枚板。その清々しさを感じながらメニューをめくれば、様々なお料理や甘味に目移りしますが、迷った時には「三色の餡と白玉餅」を是非。

「三色の餡と白玉餅」1,200円。餡は季節ごとに替わり、写真は9月の焼栗餡、菊花餡、こし餡。

 きなこをまぶした白玉餅の美味しさはもちろんですが、添えられた3種の餡は季節によって替わるため、折々の風情が楽しめるのです。たとえば10月なら、焼栗餡、白味噌餡、こし餡の3種類。一口ごとに好みの餡をつけていただくと、素朴な白玉餅に洒脱な季節感が加わり、あら素敵! 春に訪れた際に登場した餡は、桜葉餡、よもぎ餡、こし餡の3種類でした。

2016.10.06(木)
文・撮影=小松めぐみ