予約の取れない湯島の人気割烹「くろぎ」の和菓子店

廚菓子くろぎ(東京・本郷)
甘味:葛きり、あんみつ、上生菓子

懐徳館庭園を借景にしたテラス席。外観には杉板が張り巡らされ、庭園側の外壁には日本を代表する左官職人・挟土秀平氏の土壁が配されています。

 場所は東京大学本郷キャンパスの中。春日門を通るとすぐ視界に入る、思わず足が止まるような個性的なデザインの建物の1階に「廚菓子くろぎ」はあります。湯島にある予約の取れない人気割烹「くろぎ」の極上の和菓子を目当てにやって来たら建物もすごかった! という驚き。その驚きを伝える外観写真をインスタグラムにアップしつつ「#廚菓子くろぎ」をチェックすると、やはり建物の写真が続々とあがっています。

 無数の杉板で覆われた壁面が印象的な建物をデザイン・設計したのは、建築家の隈研吾氏。木を組んだ斬新なデザインで知られるスターバックス太宰府天満宮表参道店を設計した有名建築家ですが、東大大学院工学系研究科の教授だったのですね。さすが東大。テラス席に座れば、目の前の庭の景色に早くも心が和みます。

店舗内のデザインを手がけたのも隈研吾氏。ショーケースにはテイクアウトできる和菓子も並んでいます。

  「廚菓子」とは聞き慣れない言葉ですが、「廚」という漢字の意味は「手仕事、作り手」など。店内では「和菓子のライブ感」を重視する「くろぎ」のスタッフの方々が、早朝からさまざまな和菓子を手作りしています。味と材料は湯島の「くろぎ」と同じですが、違う点は和菓子の専門店であるこちらのほうが量がたっぷりしていること。また、和菓子と共に「和菓子に合う日本の珈琲」を提供すべく「猿田彦珈琲」とコラボしています。

「葛きり」は猿田彦珈琲のコーヒー(温/冷)と塩物、干菓子付き。2,100円。コーヒーはカフェインレスもあり。コーヒーが苦手な場合は抹茶もオーダーOKです。

 定番は奈良の吉野葛を使った「葛きり」。黒蜜だけでなく、きな粉としば漬けも添えられています。

 「注文ごとにお作りして、切りたてをお出ししています。10分も経つと透明感が薄れてかたくなってしまうので、ぜひ作りたてのうちにお召し上がりください」

 そう言われて1本黒蜜にくぐらせると、黒蜜に浮かべられた桜の花の塩漬けが、透き通った葛きりについて、可憐な風情。ツルツルの葛きりの表面には黒蜜が控えめに絡んで、その甘みを桜の花の塩漬けが引きたてます。さらにきな粉をつければコクが加わり、葛きりの新しい表情を発見。

 猿田彦珈琲のアイスコーヒーを味わえば、そのまろやかでスッキリした酸味が、和菓子の甘みにさりげなく寄り添います。このアイスコーヒー、徳島県産の和三盆糖で作られた干菓子との相性も抜群です。

2016.07.21(木)
文・撮影=小松めぐみ