「あー早く行きたいなあ」って恋しくなるお店
ここまで出来たら、そこは私の「東京ひとりごはんの強い味方」になるのです。
そんなお店がいくつかできましたが、夜によく行くのはこの2店。どちらも徒歩圏内。やはり近いということも高ポイントになります。
◆ 三SUN
カウンターだけの、日本のワインとおいしいごはんのお店。
お酒飲めない人NG、3人以上はNGのお店。基本的には一人か二人でまったりとおいしいワインとごはんを楽しみたい人たちの集まる場所。
同じくひとりで来ている人と少しお話したりすることもあるけれど、店主の祐子さんも含めてあんまりべったりじゃない感じも、私には居心地がいいのです。
ここでのお気に入りは、おんなめし。ルクルーゼで炊いた小さなおむすび・おかずの盛り合わせ・お味噌汁が付きます(おとこめしもあります)。
おむすびは日替わりで、コーンが入ってたり、ピーマンとじゃこだったりするので、毎回楽しみです。もちろん季節によって変わる単品メニューもいろいろあります。
シンプルで薄味のお料理が多く、なんとなく夫の作る味に似ているので、勝手に「第二のおうちごはん」と心の中で名付けて通っています。
夜遅くまで仕事をした後に、ワインだけ飲みに行ったりもします。日本のワインっておいしいなあと毎回思います。
◆ 坂の上ホタル
豚を半頭買いしてお店で作るハムやソーセージ・ステーキ、そして新鮮でおいしい野菜がたっぷりのお店。
階段を昇りドアを開けると、左手がテーブル席で右手がカウンターと分かれているので、ひとりでも入りやすいです。
初めて伺った時から、ニコニコ出迎えてくださった元気なまりさんの人柄がお店の雰囲気を作っています。
シェフの作りだすシャルキュトリーは絶品。ワインは好きだけど知識がないのでソムリエのご主人にお任せします。私が必ず頼むのは、豚タン、ハツ、レバーのスモーク3点盛合せ。
見た目が可愛いピンクポテトサラダも好き。色とりどりの野菜はどれもおいしいので、野菜料理も必ず注文。
最近は、お一人様用の小さなお皿のメニューも増えてさらにうれしい。温かくて優しいおもてなしにホッとします。
この2店は、とくに福井でアトリエにこもって制作していると「あー早く行きたいなあ」って恋しくなるのです。
ランチはもっと気軽にふらっと入ることも多いです。
長くなったので、ひとりランチのおすすめはまたいつか。
松尾たいこ(まつお・たいこ)
アーティスト/イラストレーター。広島県呉市生まれ。1995年、11年間勤めた地元の自動車会社を辞め32歳で上京。セツ・モードセミナーに入学、1998年からイラストレーターに転身。これまで300冊近い本の表紙イラストを担当。著作に、江國香織との共著『ふりむく』、角田光代との共著『Presents』『なくしたものたちの国』など。2013年には初エッセイ『東京おとな日和』を出し、ファッションやインテリア、そのライフスタイル全般にファンが広がる。2014年からは福井にて「千年陶画」プロジェクトスタート。現在、東京・軽井沢・福井の三拠点生活中。夫はジャーナリストの佐々木俊尚。公式サイト http://taikomatsuo.jimdo.com/
Column
松尾たいこの三拠点ミニマルライフ
一カ月に三都市を移動、旅するように暮らすイラストレーターの松尾たいこさんがマルチハビテーション(多拠点生活)の楽しみをつづります。
2016.09.24(土)
文・撮影=松尾たいこ