カメラのストロボがヒントになった
YSLのベビードール キッス&ブラッシュ
一方、ハイライトも今までは単純な白パールが主流だったが、今年のハイライトはひと味もふた味も違う。
まずYSLのベビードール キッス&ブラッシュが提案したストロービングは、文字通りカメラのストロボがヒント。こめかみから頰骨までに帯状にぼかすと、まさに外から強烈な光を当てたようなストロボライトになる。
そして“インビジブルライト=目に見えない光”を作るのは、ベアミネラルの上パレット。マットはテカリを抑えてふんわりした明るさを作り、グローは鼻筋やこめかみなど、ピンとしたハリがあるからこそ光る部分をマーク。2つの光を使い分けることで、より自然で、しかもハッとするほど美しいメリハリを作り出す。
ボビイ ブラウンの万能ペンシル
もうひとつ、ハイライトの新しい役割を提案してくれたのが、ボビイ ブラウンの万能ペンシル。それが顔に上向きの矢印をいくつも描くこと。だから面でなく、線をぼかすハイライターが必要になるわけで、これを提案してくれたのが、リタッチング フェイスペンシルなのだ。シミやニキビ跡、法令線などの欠点を隠すことも得意だが、一番明るい色を使ってストロービング。口角や、小鼻の脇、目尻の下から、2センチほどの斜め上向きラインを描いてこれをぼかす。すると不思議、顔立ちが無理なくリフトアップされる。
こうした隠れハイライトこそ、未来形のメリハリ作り。光も影も進化した。それを決して見逃さないで。
齋藤薫 Kaoru Saito
女性誌編集者を経て美容ジャーナリスト/エッセイストに。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。『人を幸せにする美人のつくり方』(講談社)、『大人になるほど愛される女は、こう生きる』(講談社)、『Theコンプレックス』(中央公論新社)、『なぜ、A型がいちばん美人なのか?』(マガジンハウス)など、著書多数。
Column
齋藤 薫 “風の時代”の美容学
美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍する、美容ジャーナリスト・齋藤薫が「今月注目する“アイテム”と“ブランド”」。
2016.09.06(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫