今、白鳥のような華奢を作る
“スワン・シェーディング”が新しい
“小顔願望”はまさに永遠不変のもの。トレンドがどう変わろうと、美人の条件がどう変わろうと、そこだけは変わらない。でもその一方で、小顔を作る方法って実は美容医療にもなく、痩せてもあまりサイズは変わらない。だから、メイクで影を作るシェーディングで、“小さい印象”を作るのが精一杯なのである。
でも、シェーディングはひょっとすると、メイク法の中でも最も失敗の多い悪名高きテクニックと言えるのかも。今も昔も変わらない、頰に“なんとなくの影”を作る方法は、どうしたって不自然になる。影が、頰の汚れのように見えてしまい、だから小顔やメリハリというより、“やつれ感”に見えてしまう。だからいつの間にか、みんな尻込みするようになっていった。
同時に問われるのがハイライトの是非。高く見せるべきところを高く見せて、メリハリによって間接的に影を作る方法。しかしハイライトも肌になじむ自然な白みとツヤが必要で、これがまたなかなか難しい。こちらも進化が待たれていた。だから今年はちょっとした節目の年になりそうなのだ。シェーディングには全く新しいアイディアが生まれ、ハイライトにも目覚ましい進化が見られたからである。
まず聞いてほしいのは、“スワン・シェーディング”という新しい発想。
なぜスワン? 20世紀ニューヨーク社交界の花形であったベイブ・ペイリーのような美女たちを、「僕のスワンたち」と呼んだのは、『ティファニーで朝食を』の作者、トルーマン・カポーティ。言うまでもなく華奢でエレガントなフェイスラインと仕草が白鳥を思わせたから。そして、一見、実に優雅に見えても、その水面下では完璧であるためにあらゆる努力を怠らなかったことも、白鳥に重ね合わせられていたと思う。
顔と首の華奢さを強調する、ジバンシイのプリズム ヴィサージュ
そんなスワンの繊細極まりないシルエットと輝きを思わせるメリハリを、今に再現すべく作られたのが、ジバンシイのプリズム ヴィサージュ。プリズムだから4色のフェイスパウダーを巧みに組み合わせて、光と影で顔にメリハリを作ったら、フェイスラインに沿って下顎に影を入れ、首筋を強調することでまさに白鳥のような美しいシルエットを引き出す提案。なるほどシェーディングは、頰だけで完結させるものじゃない、むしろフェイスラインの裏側を影にすることで、顔と首の華奢さが強調されるのだということを教えてくれたのだ。
2016.09.06(火)
文=齋藤 薫
撮影=吉澤康夫