新しい提案の食べ方がクセになる
料理は、定番のベトナム料理が並んでいるが、どれも様々なアイデアが凝らされて楽しい。
例えばおなじみの牛肉スープ麺の「フォーヴォー」は、スモークベーコン、12時間ローストした牛肉、葱、エシャロットの素揚げを乗せた「P&Lフォー」という変わったスタイルに変わり、食べれば複雑味がありながら、調和がとれていて、実においしい。出汁にも、丁寧な仕事が感じられる滋味がある。
新しい食べ方も提案する。例えば、塩漬け卵、揚げエシャロット、ローストピーナッツ、ガーリックチャイブとともに牛のフォー汁で食べる「フォーつけ麺」や、様々な食感や香りが口のなかで素敵なハーモニーを生んで、思わず顔が崩れる「ベトナム風和え麺」。
フランスパンに牛肉やソーセージ、野菜類、タイバジルなどを挟んだ、おなじみのサンドイッチ「バインミー」は、フォーのスープにつけて食べる。この「フォー・フレンチディップ・バインミー」、スープの旨味を染み込んで、クニャリとなった頃合いが妙にうまく、クセになる。
そして、いずれもハワイ産のブランド豚と牛肉を使っている。
デザートもユニークで、ミクソロジーカクテルも多く用意されている。店員もフレンドリーで、実に心弾む空間である。
次回はもう一軒、同じダウンタウンにある「グロンディン フレンチ・ラテン・キッチン」を紹介したい。
THE PIG AND THE LADY(ザ・ピッグ&ザ・レディー)
所在地 83 North King St., Honolulu, HI
電話番号 808-585-8255
営業時間 ランチ 10:30~14:00(火~金曜)/ブランチ10:30~15:00(土曜)/ディナー17:30~22:00
定休日 日曜
URL http://thepigandthelady.com/
<ハワイのダウンタウン>
ワイキキの西にあるオフィス街。1795年にカメハメハ1世が建国、約100年間王政を維持した「ハワイ王国」の中心的な場所で、現在も州政府庁などの官庁街と一緒に、ハワイ王国時代の歴史建造物が混在している。
最近は流行の最先端のスポットも数多く出来ているし、隣にはチャイナタウンもあるため、ショッピングとグルメの観光地として人気が高いが、夜はまだまだ危ない場所なので、注意が必要。
マッキー牧元(まっきー・まきもと)
1955年東京出身。立教大学卒。(株)味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く。「味の手帖」 「銀座百点」「料理王国」「東京カレンダー」「食楽」他で連載のほか、料理開発なども行う。著書に『東京 食のお作法』(文藝春秋)、『間違いだらけの鍋奉行』(講談社)、『ポテサラ酒場』(監修/辰巳出版)ほか。
Column
マッキー牧元の「いい旅には必ずうまいものあり」
立ち食いそばから割烹、フレンチからエスニック、スイーツから居酒屋まで、全国を飲み食べ歩く「タベアルキスト」のマッキー牧元さんが、旅の中で出会った美味をご紹介。ガイドブックには載っていない口コミ情報が満載です。
2016.08.04(木)
文・撮影=マッキー牧元