音楽ビジネスとITに精通したプロデューサー・山口哲一。作詞アナリストとしても活躍する切れ者ソングライター・伊藤涼。ますます混迷深まるJポップの世界において、この2人の賢人が、デジタル技術と職人的な勘を組み合わせて近未来のヒット曲をずばり予見する!

 さて、近々リリースされるラインナップから、彼らが太鼓判を押す楽曲は?

【次に流行る曲】
藤原さくら「Soup」

福山雅治が全面的にバックアップ!

伊藤 2015年3月にミニアルバム『à la carte』でメジャーデビュー、そして月9の主題歌として1stシングル「Soup」をリリースする新人シンガーソングライターの藤原さくらです。

山口 ジャニーズ・エンタテイメント時代にテゴマスで「ミソスープ」をプロデュースして、フリーランスになってからは、「フードミュージック・プロデューサー」と名乗っている伊藤さんとしては、チェックせざるを得ないですね?(笑)

伊藤 ついついフードミュージック・プロデューサーとして、フードソングは引っかかっちゃうんですよね。生きていくなかで最も身近にあるフード、これを歌と結びつけるっていうことはすごく自然なこと。どうしても食べ物の歌っていうと「およげ!たいやきくん」とか「だんご3兄弟」とか子供向けな曲をイメージしがちだけど、大人だって食べること大好きじゃないですか。大人には大人のフードソングっていうのがもっともっと出てきてもいい。フードって身近にあり過ぎて、言葉にするとカッコよくなくなっちゃうんだけど、「エッグベネディクト」とか「バッファローウィング」とかならいいじゃん! みたいな。それに英語にしたら結構何でもイケる、今回の「Soup」も「汁」じゃマズいけど英語なら……って(笑)。そういうのもあるんですが、彼女の歌声と表現力に引っかかったというのが、この曲を選んだ理由。

山口 歌唱力高いですね。20歳とは思えない含蓄があります。

伊藤 事務所はアミューズ、レーベルはスピードスターレコーズというだけで、なんともいえない期待感はありますよね。しかも今回は月9のヒロインとして俳優デビューも果たし、その主題歌「Soup」はドラマの共演者・福山雅治による作詞作曲。レコーディングではギターまで弾いているので、福山雅治プロデュースってことでしょうね。この辺もドラマの内容とリンクしているんでしょうけど、それにしても期待せずにはいられない新人です。

山口 しっかりとした存在感がある新人ですし、「座組み」も強力です。

2016.05.30(月)
文=山口哲一、伊藤涼