香港の高級ホテル料理人が作る本格的な屋台の味!

 ここからは同店自慢の料理を見ていきましょう。

●「豆腐の塩胡椒揚げ」(800円)

 まず紹介するのは、飲み会のスタートにもってこいな“おつまみメニュー”です。日本の木綿豆腐に似た食感が特徴の、中国産の北豆腐を食べやすい一口サイズにカット。そこにコーンスターチをまぶしてからりと揚げ、炒めて香りを何倍にも引き出したという塩胡椒、そして特製の中国スパイスをまぶして完成です。

 一口食べると、さっくり食感の衣の奥から、プルプル&トロッとした口当たりの豆腐が溢れ出し、その食感に驚かされます。しっかり目に効いた塩味は病みつきになること間違いなしで、気がつけばビールが空になっているはず。

●「アサリとトウチの唐辛子炒め」(3,800円)

 次は、J仔酒場の名物料理をご紹介。このメニュー、香港では「アサリ」で作るのが一般的なので名前には「アサリ」とありますが、日本産の大きな「ハマグリ」を使うアレンジがされているそうで、頼んだお客さんがその貝の大きさに驚くのだとか。

 味付けは黒豆を蒸して発酵させた中国味噌「豆豉(トウチ)」をベースに作られており、熱々のハマグリをチュルッと頬張ると、海鮮の滋味とまろやかでありながらほのかな苦味を感じさせる豆豉の旨味が口いっぱいに広がり、食べる手が止まらなくなりました。

●「香港風特製チャーシュー飯」(1,680円)

 香港の庶民飯として今日本でも大注目を集めているのが、このチャーシュー飯です。内装を手がけたスタッフも参加した大ヒット香港映画『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』にも登場し、観客が「一度は食べてみたい……」と思ったあのメニューが実際に食べられるとあって、筆者のテンションも上がりました。

 赤い色が特徴の香港産キャラメルを練り込んだ特製ダレで浸けた自家製チャーシューは、数時間じっくり焼き上げたこだわりの品。パリッと香ばしい外側とジューシーな旨みたっぷりの内側のコントラストは、お見事でした。また、熱々のご飯はパラっとした食感で、日本米とはまた違った軽さがチャーシューとベストマッチしているのもポイントです。

●「貝柱と卵白のチャーハン」(2,000円)

 次も香港料理の真髄を感じられるお米料理です。一般的な日本のチャーハンが全卵を使うのに対し、このメニューはなんと卵白だけを使用しているそうで、お米をふっくら、ライトにまとめてくれあげていました。

 特筆したいのが戻してほぐしたホタテの干し貝柱。これがチャーハン全体に深い海鮮の旨みを与えているのです。薄めの塩味故にその繊細な風味が鼻をふわっと抜け、アクセントの枝豆の食感とコクも合わさり、気がつけばペロリと平らげてしまう、何度でも食べたくなる一皿でした。

●「金木犀ゼリー」(680円)

 食後のデザートにぜひ注文して欲しいのが、この金木犀ゼリーです。中国語で「桂花」と呼ばれる金木犀の花びらと、砂糖漬けのクコの実が入ったこの透き通った黄金色のゼリーは、まるで水面を思わせるような美しい見た目をしています。

 口当たりはしっかり目で食べ応えもあるのですが、その味付けは香港料理らしい甘さ控えめの繊細なバランスになっており、食事の最後を上品にまとめあげてくれました。

●「レモンティー」(600円)

 これらの食事と併せてぜひ頼んでみて欲しいのが、香港式ファミレス「茶餐廳」の代名詞とも言えるレモンティーです。イギリスの統治下だった歴史もある香港では、英国文化と融合して誕生したこうしたメニューも特色のひとつ。

 香り高いアールグレイティーの底には、薄切りにしたレモンがたっぷりと入っており、これをスプーンで豪快にガシガシと潰してその果汁を紅茶に染み出させて飲むのが香港スタイル。爽やかな酸味が食事にも合うのです。

――きらびやかな渋谷の地下に眠っていた香港の景色。まるで映画の中に入り込んだような異空間で本格的な香港料理に舌鼓を打っていると、いつしか心は80年代の香港にタイムスリップしたような錯覚に陥るはずです。渋谷を訪れた際は、この新名所にぜひ足を運んでみてはいかがでしょう。

J仔酒場大排檔

所在地  東京都渋谷区宇田川町26‐11 白馬ビル B1
電話番号 03-6427-8989
営業時間 11:30~15:00(料理L.O.14:30、ドリンクL.O.15:00)、17:00~23:00(料理L.O.22:30、ドリンクL.O.23:00) ※土・日曜、祝日は通し営業
定休日 無休