渋谷のセンター街に現れた香港への扉。話題の香港料理店「J仔酒場(ジェイボーイサカバ)」。香港映画スタッフを導入して作り上げた圧巻の内装は国内外、老若男女問わず多くのお客さんの心を掴んでいます。
前後篇の後篇となるこちらの記事では、こだわりの詰まった絶品香港グルメを6品目ご紹介。香港グルメの魅力をたっぷりとお伝えします。
失われつつある香港の大衆屋台料理を再現したいという熱い想い
「J仔酒場」の魅力は何もその空間設計だけではありません。同店舗のマーケティング・ディレクターであるケン・ロさんにお話を伺うと、提供される本格的な香港料理への並々ならぬ熱意が垣間見えてきました。
「日本には中華料理屋がたくさんありますが、ほとんどは日本人向けにカスタマイズされています。それはそれで美味しいのですが、本場の香港料理ももっと知ってもらいたいと思い、香港のフォーシーズンズホテルでシェフをやっていた香港人の方を料理長としてお呼びしました。
ただ、元ホテルの料理人が作ってはいますが、目指したのは高級な香港料理ではなく、あくまでも香港の庶民の味です。香港には点心などが楽しめる飲茶(ヤムチャ)文化、そして、香港式ファミレスとして日本でも知名度を上げてきた茶餐廳(チャーチャンテン)文化に並んで、大排檔(ダイパイタン)と呼ばれる大衆屋台文化があります。この大排檔はネオン看板と同じように、近年はその数を急速に減らしているので、今の時代にも伝えようという思いを込めて作っています」
そんな香港の大排檔スタイルの料理ですが、意外にも日本人にも親しみやすい味なのだとか。
「香港料理は広東料理の流れを汲んでいますが比較的薄い味付けで、素材の味を生かした調理が特徴です。加えて中国醤油をベースに味付けしたものも多いので、日本人の方でも親しみやすいと思いますよ。あとは、あまり知られていないのですが、香港人は麺よりもお米を愛する人たちなので、お米料理がすごく多いのです。この辺りも日本人の心を掴んでくれるのではないでしょうか」
