「今日は絶対にお酒は飲まない!」と決めたはずなのに、気が付くとお風呂上がりにビールを飲んでしまい、罪悪感にさいなまれる……。これは、「冷蔵庫にビールがある」という環境があることで意思決定が変更されてしまうと、堀田さんは説明します。
「手に取りやすいから取るし、居心地がいいからゴロゴロしてしまう。脳の仕組みは、実はとてもシンプルです。脳がそうなるような環境をデザインすれば、脳はスムーズに動き出します。
習慣づくりは、自分の意志だけで成し遂げようとすると、どこかでストレスを感じ、疲れてしまいます。いかに脳の仕組みを理解するかがポイントです」
習慣化のカギ(1)食器のサイズを変えるだけで…
ダイエットをする際も、この点を意識することが大事。
「たとえば、ラフバラー大学のジェイムズらの研究では、 『小さいスプーンで食べると約8%食べる量が減った』と報告しています。小さいスプーンで食べると、ひと口あたりの食事量や食べる速度に変化が生じたと研究チームは説明しています。このように食器を変えるだけで、食べる量や内容を変えることができるんですね」
習慣化のカギ(2)なぜジャンクフードを食べたくなるのか?
堀田さんは、私たちがジャンクフードを食べたくなる理由についても、科学的根拠があると話します。多くの人が、「疲れているときにジャンクフードを食べたくなるのは体が必要としているから」と考えている節がありますが、堀田さんは「実は、そういうわけでもないんです」と笑って答えます。
「カナダのウォータールー大学のロウらの研究によれば、『前頭前皮質の機能を一時的に低下させると、カロリーが高い食べものを欲するようになるだけでなく、実食においてもジャンクフードを食べる傾向が高くなる』ことが判明しています。
前頭葉は注意力、集中力、判断力などと関係し、感情や欲求を抑制する脳の大切な部位です。そのため前頭葉の機能が低下すると、普段は悪いからやめよう、我慢しようと思っていることについての判断が鈍くなり、我慢ができなくなってしまうのです」
体にとって必要だからではなく、判断のコントロールが利かなくなることで、ポテトチップスの袋を開けてしまう。きちんと休憩や気分転換をしていれば、タガは外れづらくなるということ。
ストレスがたまると無性に暴飲暴食がしたくなるのは、脳が疲れて判断力が低下しているからなのです。
